睡眠不足は体重を落とすときの妨げになっている?

睡眠と体重
睡眠不足は体重を落とす機能に悪影響を与えてしまいます。
減量を毎年第一の目標にしている人が多いようですが、90パーセント近くの人がこの目標を達成できずに体重を全く変化させられず、むしろ体重を増加させてしまう人までいます。こうした人たちのほとんどはなぜ自分がダイエットに失敗するのか分かっていません。実は、失敗の理由の一つは「睡眠が足りていない」ことです。
The Journal of the American Medical AssociationとThe Lancetに掲載された研究によれば、睡眠不足は空腹感を増大させるのに加え、新陳代謝にも影響しているかもしれません。このような状態だと、体重を今のままに保ったり減量したりするのが困難になります。
睡眠不足は以下の二つのような影響を及ぼすと考えられています。
・睡眠不足だと、満腹であっても空腹感を感じます。また、コルチゾールという食欲を規則正しく感じるようにするホルモンの分泌に影響するということが分かっています。結果として、睡眠不足の人は適切な量を食べているにもかかわらず空腹を感じ続けるのです。
・貯蔵脂肪を増加させます。睡眠不足だと、炭水化物を代謝する能力が妨げられるかもしれません。その場合、血糖値が上昇します。血糖値が高いとインスリンの過剰分泌が促進されてしまいます。これにより体脂肪がたまる上、インスリン抵抗性が高まり、とても糖尿病になりやすい体質になってしまいます。
それでは、どうして肥満の人は睡眠障害になりやすいのでしょうか。睡眠障害が起こる理由にはいくつか理由があると考えられています。
・肥満の人は睡眠時無呼吸症候群になる人が多いです。睡眠時無呼吸症候群とは、寝ている間に呼吸がときどき止まる病気のことで、結果として何度も何度も目が覚めてしまうというものです。これは本人の知らない間に一晩に数百回起こるので、次の日どれだけ眠くなるかが想像できるでしょう。
・肥満の人の中には腰痛を持っている人がいます。腰痛持ちの人はベッドに心地よく寝転がることも質の良い睡眠をとることも困難になります。
・自分の体重を心配しすぎている人や意気消沈している人は不眠症になっていたり、眠りに落ちるのが困難になることがあります。
減量は睡眠の質を向上させることができます。あるオーストラリアで行われた研究では、睡眠障害だった300人以上の肥満の人が減量手術をした後よく眠ることができるようになったそうです。
・いびきをかく癖のある人が82パーセントから14パーセントに減少しました。
・睡眠時無呼吸症候群の人が33パーセントから2パーセントに減少しました。
・異常な眠気を日中に感じる人が39パーセントから4パーセントに減少しました。
・睡眠の質が悪いという人は39パーセントから2パーセントに減少しました。
また、自分の睡眠の質(すなわち、深い眠りに落ちていた時間)を正確に知ることは、睡眠量と同じくらい重要です。たとえば、体力を回復させる深い眠りや徐波睡眠が減ってしまうと、成人期の体の脂肪と筋肉の割合を調節するのを助けるはたらきをもつタンパク質である成長ホルモンの分泌が著しく減少するなど影響が如実に現れてきます。
がんばるあなたへ適切な睡眠のヒント
絶対に減量してやると意気込んでいる人は食習慣と同様に睡眠習慣も気をつけて調整していくべきです。次の項目は痩せようと努力するのを助けるヒントになっています。
・空腹感を感じながら寝ないようにしましょう。でも、寝る直前にたくさん食べることは避けましょう。
・日常的に運動しましょう。でも、寝る3時間前からは激しい動きをしないように気をつけましょう。
・夕方からはカフェイン、ニコチン、アルコールを摂取しないようにしましょう。
・夜の睡眠に問題を感じているなら昼寝をしないようにしましょう。
・温かいお風呂に入ったり読書をしたりして、寝る前にリラックスする時間を設けて眠りに入りやすくしましょう。
・快適な睡眠環境を作りましょう。できるだけ暗く、そして静かになると良いです。
・眠れなくてもベッドの中で気に揉む必要はありません。30分経っても眠れなかったら別の部屋に行き、眠くなるまでリラックスできることをしてみると良いでしょう。
数週間以上睡眠に問題があると感じたら、あるいは、それによって日中の活動に支障が出始めたら、医師に相談しましょう。