ボーイスカウト&ガールスカウトで精神的に強くなる!

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ボーイスカウトとは

BBCの報道によれば、「ボーイスカウト活動は、人生における精神的な成長をもたらす」とのことで、スカウト活動の経験を持つ成人は、後の人生で不安やうつが少ないことが研究で判明しました。

しかし、その差は非常に小さく、スカウト活動に参加した人は約21%、スカウト活動の経験がない人は25%でした。

研究者はまた、低所得層の子どもにありがちなメンタル面の問題は、スカウト活動に参加した子どもたちにはあてはまらないないことを発見しました。

これは、どんな子どもの参加も歓迎する慈善団体が、子どもの成長に好影響をあたえていることを示しています。

些細な結果に思えるかもしれませんが、メンタル面に関してはほんの少し役に立つようです。このタイプの研究は、他のクラブに参加したかどうかなど、他の要因によって複雑になる可能性があるため、他の要因の影響を確かめるのは困難ですが・・・。

興味深いことに、スカウト活動の創立者ロバート・バーデン・パウエルが20世紀の初頭に記した「スカウトの原則」は、現代の専門家が幸福感の改善策になると考えている、他者とのつながり、生涯学習、周囲への気配り、他人を助けることに一致しています。

研究の経緯

研究は、経済社会研究評議会の資金提供の元、エジンバラ大学とグラスゴー大学の研究者によって行われました。

この研究は、専門誌Journal of Epidemiology and Community Healthで公表され、無料でダウンロードできます。

研究結果はおおむね正確なもので、英国のメディアは、スカウト活動が中年のうつ的状態を防ぐ手段となることを熱心に報じました。

多くの報道は、「スカウト活動は自信をあたえ、学んだことは人生を通して役に立っている。」というようなスカウト活動に携わったの人のコメントを引用しています。

どんな研究だったか?

研究は、集団研究であり、スカウト経験が将来的なメンタルに関連しているかどうか調べることを目的としています。

集団研究は、要因間の因果関係を調べるのに適した方法ですが、ひとつの要因から派生する別の影響を調べるのは困難という特徴があります。

研究内容

研究者は、英国国立児童養成研究の情報を使用し、2008年に50歳を迎えた9,790人が、メンタルについてインタビューされました。

研究者は、困惑要因を調整するため、幼児期以降の情報を用い、スカウト活動が精神面にあたえた影響について調べました。また、生活環境について調べるため、父親の職業、進学熱、そして、家族の精神病歴、インドア、アウトドアの傾向についても調べました。

十分なデータを持っているのは4,020人で情報が少なすぎて研究から除外される人もいました。研究者はギャップを埋めるために統計的手法を用い、最終的に9,603人が参加しました。

また、他の困惑要因を考慮し、他のクラブ活動や宗教団体に参加したかどうか、そして、それがメンタルに影響したかどうかを調べ、また、地理的な要因もあるかどうか調べました。

スカウト活動に参加した時間とメンタルの関係についても考慮しています。

研究結果

平均的なメンタルヘルスのスコア(0~100で計測し、高いほうがいい)は74.8でした。
グループの28%がスカウト経験者で、

・平均メンタルヘルススコアが2.28ポイント高い。
・不安またはうつの徴候がある65点以下のスコアは、スカウト経験のない人が100人中25人だったのに対し、スカウト経験のある人は、100人中21人。
・低所得のメンタルに対する影響はあまり顕著ではなく、スカウト経験のあった低所得の人は、スカウト経験のない高所得層の人よりメンタルの状態は良かった。

現在、教会やボランティアに参加していることはメンタル面に影響がありませんでした。しかし、驚くべきことに、理由は不明ですが、以前、ボランティア団体に所属していた人にメンタルの問題が出る可能性は27%増加していました。

研究結果の解釈

研究者は、「スカウト経験は、ストレスの多い現代社会への防御力、抵抗力を身に着ける場になり、若者の参加を促すことは、低コストのメンタル対策になる。」と述べています。

おわりに

スカウト活動は、青少年が生き方を学び、共同活動に参加し、自然に触れる機会を設けるように設計されており、スカウト活動が精神力を鍛えるという理論は非常に魅力的で、メンタルヘルスに役立つ可能性があります。

ただし、注意すべき点もあります。

・因果関係は証明できたとしても、拡大解釈はできない。
・過去にボランティア活動をしていた場合、なぜ、メンタルに問題が出る可能性が高いかったのか?
・十分な過去の情報がなかった被験者のデータは、研究者の“想定”で補強されたため、誤差を出した可能性がある。
・スカウト活動の頻度とメンタルの関係は不明。

研究結果が信頼できるかどうかに関わらず、スカウト活動は低コストで人生を生きるスキルを学ぶことができます。スカウトのモットーで言えば、「備えあれば憂いなし」です。

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