LGBTの方の健康管理のために知っておきたいこと

健康管理
LGBTの人には、ストレートの人と全く同じ水準の保健サービスを受ける権利があります。
ご自身の性的指向を主治医に話しましょう。主治医があなたの性的指向を知っていれば、ご自身の生活や人間関係、健康上の心配などをより話しやすくなります。主治医があなたに関係しそうな病気について注意しておくこともできます。
LGBTの人は主治医にカミングアウトするのに抵抗を感じ、偏見をもたれることを恐れて診察を受けに行くのを避ける傾向があることが、研究によって示されています。
ホモフォビア(同性愛嫌悪)も懸念材料です。確かに看護師や医者といった臨床医は、カミングアウトした患者に対して時に心無い反応をするかもしれません。これは医療者側の無知や偏見によるものです。
このようなことは容認しがたく不当なものです。性的指向やジェンダーアイデンティティーによる差別があってはなりません。もしこのようなことがあったら、すぐに不服申し立てをするのが一番です。
健康問題
私たちはみな人間であり、性的指向に関係なく健康面に関する注意点は似通っています。しかし、LGBTの人には、健康面での注意点やリスクについて、ストレートの人とは違う部分があります。
ゲイやバイセクシャルの男性には、HIVや、梅毒や淋病といった性感染症にかかるリスクが高いです。レズビアンの場合は、ストレートの女性よりも性感染症にかかるリスクは低いです。
ゲイやバイセクシャルの男性はストレートの男性よりも多く喫煙し飲酒することが、ある調査によってわかっています。喫煙経験のある男性は全体としては半分ですが、ゲイやバイセクシャルの男性にかぎると3分の2にのぼります。週に3日以上飲酒する男性は全体としては35%ですが、ゲイやバイセクシャルの男性にかぎれば5分の2(42%)です。
ほかの調査では、レズビアンやバイセクシャルの女性は一般的な女性よりも多く喫煙し飲酒することがわかっています。喫煙経験のある女性は全体としては半分ですが、レズビアンやバイセクシャルの女性にかぎると3分の2にのぼり、週に3日以上飲酒する女性は全体としては25%ですが、レズビアンやバイセクシャルの女性にかぎれば40%です。
自分が「異常だ」と感じたり、周囲からも特殊な人として扱われることで、心的健康に影響が出ることもありますし、高血圧や摂食障害などの身体面での健康に影響が出ることもあります。レズビアンやゲイ、バイセクシャルの人はストレートの人より自傷行為をすることが多いです。
健康診断とサポート
ある医師によると、定期的に血圧を測る、性感染症の検査をするなど、LGBTの人も含むすべての人がするべき検査があるとのことです。
それに加えて、ゲイやバイセクシャルの男性はB型肝炎のリスクが高いので、B型肝炎のワクチンを受けるべきです。
主治医の選択
国内にはたくさんの診療所がありますが、どの医師にするかという選択はたいてい住んでいる地域で限定されるでしょう。考慮すべき事項を挙げると、
・診察時間、予約を取りやすいかどうか
・何人医師がいるか(大きい診療所のほうが予約を取りやすいでしょう)
・もし気になるのなら、医師の性別
診療所を訪ねたら、特にレズビアンやゲイ、バイセクシャルに関するポスターや読み物があるかどうか確認しましょう。
性的指向のことも含めた人権研修を行っているかも聞きましょう。差別されたと感じたら、あなたには不服申し立てする権利があります。
トランスジェンダーの問題
「トランス」とはさまざまなコミュニティーをまたぐことに関連する言葉で、トランスベスタイト(異性装をする人)やトランスジェンダー(生物学的な性とは反対の性として生きたいと強く持続的な願望を持つ人)という人がいます。レズビアンやゲイ、バイセクシャルと同様に、トランスの人は偏見に直面し、孤独を感じることが多くあります。
このようなことが原因で、トランスの人の多くには、アルコール依存、鬱、自殺、自傷、暴力、薬物乱用、HIVなどのリスクがあります。このページの情報の多くはトランスの人に関係があるでしょう。詳しくはトランスジェンダーヘルスのページをご覧ください。
トランスの人のための情報でも有益な情報が得られるでしょう。