乳がんについての基礎知識〜遺伝子異常〜

症状

遺伝子異常について

遺伝子の異常(突然変異)は乳がんのリスクを高めます。欠陥遺伝子をもつ恐れのある女性は、検診を受けることをおすすめします。

BRCA1、BRCA2、TP53、PALB2、PTENと呼ばれる遺伝子が乳がんに関連しているといわれている主要な遺伝子です。すべての人がこの遺伝子を持ちます。こうした遺伝子に異常があると、乳がんのリスクが高まります。

BRCA1とBRCA2という遺伝子に異常がみられると、卵巣がんのリスクも増大します。血液検査によって、このような遺伝子に異常がないかどうか調べることができます。

マンチェスターにあるセント・メリーズ病院の遺伝医学者であるガレス・エヴァンス医師によると、乳がんにつながる恐れのあるリスクの高い遺伝子を持つことは、一般的ではありません。「このような遺伝子の異常が健康状態に影響する割合は、400人に1人以下です」と彼は話します。

乳がんの一般的なリスクは何ですか?

イギリスでは、一生のうちに乳がんにかかる女性の割合は10%から12%です。100人の女性のうち、10人~11人が80歳になるまでに乳がんを発症しているということになります。欠陥遺伝子を持っていなくても、乳がんになる可能性はあります。

家族の中に乳がんを経験したことのある人が2人以上いたとしても、欠陥遺伝子をもっているという証拠にはなりません。乳がんは一般的な病気ですから、罹る可能性はあります。

欠陥遺伝子を持っていることのリスクは何ですか?

欠陥遺伝子を持っていると必ず乳がんになるということではありませんが、もっていない人と比べるとリスクが高くなります。

乳がんにつながる恐れのある遺伝子に欠陥がある場合、乳がんを発症する確率は通常に比べて40%~85%高くなります。

欠陥遺伝子をもつ女性100人のうち、40人~85人が生きているうちに乳がんにかかる可能性があるということです。

欠陥遺伝子の検査を受ける必要があるのはどのような人ですか?

乳がんであると診断され、家族の中に乳がんや卵巣がんの経験者がいる場合、異常な遺伝子がないかどうか血液検査が行われます。

検査が陽性の場合、もう一方の乳房も乳がんになるリスクが高くなり、BRCA1とBRCA2に異常がみられる場合は卵巣がんになるリスクが高くなります。

「母親や姉妹に陽性の結果が出た女性は、同じ遺伝子が異常ではないかを確認するための簡単な検査を受けることができます」とエヴァンス医師は話します。

欠陥遺伝子の検査で陽性が出た人が家族内にいない場合、検査を正当化するためには家族内の病歴の証拠が強い必要があります。

「家族の病歴を調べるとは、乳がんと卵巣がんの発症の組み合わせと、若い頃(50歳未満)に乳がんを発症した人を調べるということを意味します。」とエヴァンス医師は言います。

「たとえば、30代で3人発症した場合、もしくは40代で4人が家族内で発症した場合は、まだ発症していない人が遺伝子検査を行うための条件になります。」

がんを発症していない女性が欠陥遺伝子を持っている場合はどうなりますか?

欠陥遺伝子を持っている場合、一生のうち乳がんあるいは卵巣がんを発症するリスクが高くなります。

年齢と予想されるリスクに応じて、マンモグラフィー検査かMRI検査、もしくはその両方を行うことが推奨されます。

一般的な健康に関するアドバイスに従うこともできます。「栄養バランスのとれた食事をしたり、定期的に運動することで体重を増やさないようにすることでも、リスクを減らすことができます」とエヴァンス医師は話します。

「問題は、発症のリスクを50%以下に抑えることが難しいということです。このことから、リスクの高い女性は、発症のリスクを減らすための手術に踏み切ることが多いです。」

乳房を摘出(乳腺切除術)したり、卵巣を摘出することで、がん化して成長するのを予防する人もいます。

こうした手術は一般的なものです。手術を行う前には、リスクやほかに予想されることについて医療チームと話し合う必要があります。

「もし女性が両乳房切除手術(両方の乳房を切除すること)を受けたとすると、乳がんを発症しない確率を90%~95%まで高めることができます」とエヴァンス医師は語ります。

発症のリスクが心配な場合はどうしたらよいですか?

家族の中で乳がんを経験した女性が2~3人いて自分も発症するリスクがあるのではないかと心配している場合は、医師に相談してください。

医師が発症のリスクが高いと判断した場合、乳がんクリニックを紹介してくれるでしょう。もし家族の中で遺伝子検査を受けて陽性だった人がいる場合は、遺伝子クリニックを紹介してくれるでしょう。

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