腸チフスの予防接種についての基礎知識

腸チフスになる危険性が高い地域
腸チフスに対する予防接種は、腸チフスが蔓延している国や地域に旅行する際に受けることを推奨されます。
腸チフスは世界中にある病気ですが、衛生基準や食品衛生基準の低い地域ではより蔓延しやすくなっています。危険性の高い地域は以下のとおりです。
・インド亜大陸
・アフリカ
・南アジア、東南アジア
・南アメリカ
・中東
・ヨーロッパ
・中央アメリカ
衛生基準や食品衛生基準の低い地域で地元の人々と生活するあるいは働く予定である場合、またはその地域に長く滞在する場合は、予防接種が強く推奨されています。
腸チフスワクチンを選ぶ
英国では、主に以下の2種のワクチンが腸チフスの予防接種に使われています。
・Viワクチン:一度の注射で投与されます
・Ty21aワクチン:3つのカプセルを1日おきに服用することで投与されます
15歳以上の人は、腸チフスとA型肝炎の混合ワクチンの注射も利用することができます。A型肝炎に対するワクチンは1年間効力があり、腸チフスに対するワクチンは3年間効力があります。
ワクチンは身体を刺激し、抗体(感染症と闘うタンパク質)を生成することによってはたらきます。この抗体があることによって、チフス菌に感染した場合に病気になることを予防することができます。
しかしながら、100%有効な腸チフスワクチンはなく、外国で食べ物や飲み物を口にするときは常に用心しなければならないということを忘れないでください。
ViワクチンはTy21aワクチンよりも効果がありますが、Ty21aワクチンの投与には注射を使用しなくてよいため、Ty21aワクチンを好む人もいます。
Ty21aワクチンには腸チフス菌の生きたサンプルが含まれているため、HIVにかかっている人、化学療法などの特定の種類の治療を受けている人などの免疫系が弱い人には適していません。6歳以上の子どもに対する投与は勧められていませんが、Viワクチンは2歳以上であれば子どもでも予防接種を受けることができます。
腸チフスワクチンは最低でも旅行する1ヶ月前に投与されることが望ましいですが、必要に応じて出発間近でも予防接種を受けることができます。
チフス菌に感染する可能性が高い場所にとどまり続ける場合は、3年ごとに予防接種の投与量を増やすことが推奨されています。
腸チフスワクチンの副作用
腸チフスワクチンを投与された後、注射を打った場所が硬くなったり、痛み、赤み、はれが生じることもあります。
およそ100人に1人の割合で、38度以上の高熱を経験する人もいます。
それほど一般的なものではありませんが、以下のような副作用が見られることもあります。
・腹痛
・頭痛
・体調不良
・下痢
どちらの腸チフスワクチンでも、深刻な副作用が出ることはめったにありません。