てんかんについての基礎知識~治療法~

その他

てんかんとは

てんかんは、脳内の神経細胞のクラスターまたはニューロンが、時折異常な信号を発して発作を引き起こす、慢性神経障害です。ニューロンは、通常、人間の思考、感情、行動を形成するために、他のニューロン、腺、筋肉に作用する電気および化学信号を生成します。発作時には多くのニューロンが、1秒に500回以上という、通常よりもはるかに高速で、同時に発火します。この過度の電気活動が同時に発生すると、不随意の運動、感覚、感情、行動が起こり、正常なニューロンの活動における、一時的な障害によって意識が失われる可能性があります。

てんかんは、異なる原因や発作の種類があり、またその症状が重症度を感じさせ、インパクトを与え、多岐にわたる合併症状があるため、自閉症スペクトラム障害とみなされることがあります。

人によっては、痙攣や意識を失うだけの人もいれば、それまでしていた動作がとまり、意識が喪失し、短時間宙を見つめる人もいます。また、発作が非常にまれに起こる人も入れば、毎日何百回もの発作を経験する人もいます。また、さまざまな症状の原因となる、多くの異なるタイプのてんかんが存在します。最近の「てんかん」という用語の採用は、種類と原因の多様性を強調しています。

一般的に、24時間を隔てて、少なくとも2回以上の発作がなければ、てんかんがあるとはみなされません。

対照的に、誘発発作は、高熱、神経系感染、急性外傷性脳損傷、血糖値、電解質レベルの変動などの既知の増悪因子によって発症する発作です。

誰でもてんかんを発症する可能性があります。米国では約230万人の成人と450,000人以上の青少年が、現在てんかんを罹っています。毎年、推定15万人がてんかんと診断されています。てんかんは、すべての人種、民族背景、男性と女性の両方に影響を及ぼします。米国だけでも、てんかんに関連する年間費用は、直接医療費、損益および生産性の喪失または減額で155億ドルと推定されています。

てんかんと診断された患者の大多数は、薬物療法および手術で発作を制御できます。30〜40%のてんかん患者は、完全に発作をコントロールすることができず、発作を続けます(難治性または薬物耐性てんかんと呼ばれます)

多くのてんかん患者にとっては、発作をコントロールするため、生涯治療が必要になりますが、最終的に、発作がなくなる人もいます。成人や重度のてんかん症候群の子供には、あまりあてはまらないかもしれませんが、発作が時間の経過と共に減少したりなくなったりする可能性もあります。

この事は、てんかんが小児期に始まり、投薬によってよく制御されている場合、または異常な細胞発火における脳の焦点を除去する手術を受けている場合に起こることが多くあります。

てんかん患者の多くは、充実したな生活を送っていますが、一部の人はてんかんに深刻な影響を受けています。過去20年間の医療と研究の進歩により、てんかんと発作に関しての理解が深まってきました。

20種類以上の薬物療法と、さまざまな食事療法や外科技術が利用可能になったことで、発作を良好に制御できる可能性があります。

進歩した神経画像検査により、脳神経外科手術によって治癒される発作を引き起こす脳の異常を同定することが可能になっています。

また、食生活の変化で、特定のタイプのてんかんを効果的に治療することも可能です。てんかん遺伝子の同定など、てんかんの根底にある原因を探る研究により、より効果的な治療であったり、将来的なてんかんの予防になりうる障害について、大幅に理解を深めてきました。

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