ホットフラッシュについての基礎知識~対処法~

ホットフラッシュとは
ホットフラッシュは更年期の最も一般的な症状ですが、熱を克服するための治療法やセルフヘルプの技術にはさまざまなものがあります。
すべての女性が更年期障害を通してホットフラッシュを経験するわけではありませんが、ほとんどの女性が経験します。更年期の女性の4人のうち3人がホットフラッシュの症状を抱えています。ホットフラッシュの特徴は、どこから起こったのか分からない熱が突然体中に広がっていくということです。発汗、動悸、顔の紅潮も含まれ、女性ひとりひとりで激しさが異なります。
まったく支障にならないホットフラッシュが時折起こる女性もいれば、不快で厄介なホットフラッシュが1日に20回も起こる女性もいます。
ホットフラッシュは通常、閉経後数年間続きます。しかし、70代、80代になっても治まらず、何年間も続くこともあるのです。おそらく体の温度調節に変化を与えるホルモンの変化が原因です。
ホットフラッシュの原因
自然な閉経があった女性のほとんどがホットフラッシュを経験しています。しかし、ホットフラッシュには以下のような別の原因もあります。
・乳がん治療:乳がん治療を受けた女性は、自然な閉経を迎えた女性よりもホットフラッシュが重症で頻繁なものになる傾向があります。(英国がん研究所の調査による)これは、化学療法とタモキシフェンの錠剤がエストロゲン値を低下させるためです。
・前立腺がんの治療:前立腺がんの治療を受けている男性は、場合によっては数年にわたってホットフラッシュを起こすことがあります。ホルモン療法は、体内のテストステロンの量を減らすことによって、男性のホットフラッシュを引き起こします。
ホットフラッシュとはどのような感覚なのか
女性はしばしば「体全体から眉間までまっすぐに素早く広がり、数分間続く激しい熱が忍び寄る感覚」としてホットフラッシュを説明します。「熱は日焼けマシーンの下にいる感覚に似ている」「『溶鉱炉の中にいるように』あるいは『誰かが私の胃の中に小さな穴を開け、熱い石炭を入れているように』暑く感じる」という女性もいます。
ホットフラッシュの引き金
ホットフラッシュは、昼夜問わず予告なしに起こる可能性がありますが、ウールのセーター(特にポロネック)、ストレスを感じたとき、アルコールやコーヒーを飲んだとき、辛いものを食べたときなど、有名な引き金となるものがあります。
ホットフラッシュの治療
多くの女性は更年期障害に関連したホットフラッシュとうまくやっていけるようになりますが、その症状が本当に悩ましく、日々の生活に支障をきたしている場合は、役立つ可能性のある治療法について医師に相談してください。
最も効果的な方法はHRTであり、ホットフラッシュを完全に治すことができます。しかし、ビタミンE補給物、抗うつ剤、ガバペンチンと呼ばれる薬物(通常発作の治療に使われるもの)を含むほかの医薬品も役に立つことが示されています。
乳がんや前立腺がんなどのホルモン依存性がんにかかったことがある場合は、医師がHRTを受けないことを推奨することがあります。
ホットフラッシュの補完療法
女性はしばしば、ホットフラッシュを治療する「自然な」方法として補完療法を選択します。
鍼療法、大豆、黒コショウ、レッドクローバー、パインバークサプリメント、葉酸、マツヨイグサがホットフラッシュの軽減に役立つことを示す研究もあります。
しかしながら、この研究は不完全であり、製品の質はかなり変わる可能性もあるので、この治療の長期的な安全性はまだ分かっていません。
副作用(例えば、黒コショウによって肝障害が起こったこともある)がある可能性もあり、処方薬と混同しやすい(レッドクローバーは抗凝固剤を服用している女性には不適である)ため、補完療法を受ける前には医師に知らせることが重要です。
大豆とレッドクローバーは植物エストロゲンを含んでいるので、乳がんの女性には安全でないことにも注意してください。
ホットフラッシュのセルフヘルプ治療法
加熱状態を和らげるために以下の日常的なアドバイスを試してみてください。:
・コーヒーや紅茶を飲む量を減らし、禁煙する。
・部屋を涼しく保つ。必要に応じて扇風機やうちわを使う。
・熱が回ってきたと感じたら、冷たい水を入れた霧吹きを顔にスプレーするか、薬局で入手できる冷たいジェルパックを使って冷やす。
・薄い綿やシルクの服をゆったりと重ね着し、暑くなったらいつでも脱げるようにする。
・必要に応じて取り外し、寝室を涼しく保つために、羽毛布団ではなくベッドの上にシーツを何枚か重ねる。
・アルコール摂取量を減らす。
・冷たいまたは氷で冷やした飲み物を飲む
・薬を飲むタイミングを変える。英国がん研究所は、タモキシフェンがホットフラッシュの原因である場合、朝に半分、夜に半分の量を服用することを推奨しています。
ホットフラッシュは心配するべきものであるのか
ホットフラッシュは、一般的には更年期障害の無害な症状です。しかしごくまれに、血液がんまたはカルチノイド(神経内分泌腫瘍の一種)の兆候であることがあります。
ホットフラッシュに加えて、例えば疲労、衰弱、体重減少または下痢のような体調不良が生じている場合は、医師の診察を受けてください。