呼吸器多核体ウイルス(RSV:Respitatory syncytial virus)について

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RSウイルスとは

鼻水が垂れたり、咳が出ることは、RSウイルスのサインであるかもしれません。RSウイルスとは、通常1週間ほどで自然に消滅する一般的なウイルスです。この記事では、このウイルスについて知っておくべきことを挙げます。

RSV

呼吸器多核体ウイルス(RSV:Respitatory syncytial virus)は非常に普遍的なウイルスなので、ほぼすべての大人や子どもがいつかはその影響を受けます。ウイルスとそれに伴う風邪のような症状は、通常1~2週間ほど続いて赤ちゃんを苦しめますが、幸運なことにこれは大抵の場合心配に及ぶことではありません。実際には、ほとんどの場合、自分の子どもに現れている風邪の症状がRSV感染によるものであると気づくことはないのです。しかし、何かしらの慢性的な健康問題を抱えている赤ちゃんにとっては、RSVが合併症に繋がってしまうおそれがあります。子どもを守るために、RSVを予防することとその症状に対処することについての事実を知りましょう。

RSVとは

RSVは伝染性のウイルスで、鼻と肺上部に影響を及ぼすため、鼻垂れや微熱、その他の一般的な風邪と似た症状を引き起こします。そして一般的な風邪と同じように、ほとんどの赤ちゃんは10月から4月の間にRSVに感染することが多くあります(実際のところ、全体の3分の2ほどの乳児が、生後1年のどこかの時点でRSVに感染します)。ほとんどの赤ちゃんに関しては、病気は軽度のものです。しかし、病気が軽度から重度まで悪化してしまう赤ちゃんもいます。この危険な状態であるグループには、肺が発育不全であったり、RSVに接触した時にRSV感染症を撃退するために役立つ抗体を母親からまだ十分に受け取っていない未熟児、あるいは心臓や肺に問題を抱えていたり、免疫不全の状態で生まれてきた赤ちゃんが含まれます。このような赤ちゃんは、肺の下の部分や気道の最も狭い部分が炎症を起こす可能性があり、呼吸が困難になるおそれがあります。このような感染は細気管支炎と呼ばれており、重度の細気管支炎を抱えている赤ちゃんは入院することになってしまうこともあります。事実、RSVは1歳以下の子どもに起こる重度の細気管支炎の主な原因なのです。

あいにく、ウイルスは外気の中でも4~8時間生きていられるので、簡単に感染してしまいます。子どもは、感染している友達の手を触った後や感染している子どもが使っていたおもちゃを持ったりした後に、その触った手で自分の口、目、鼻を触ったり、ウイルスを保有している人とコップや道具を一緒に使うことによってRSVに感染してしまう可能性があります。咳やくしゃみによって、空気を通して感染が広がる可能性もあります。これによって未熟児がこのウイルスと接触することになってしまうのです。RSVに感染した子どもは、症状が現れる1週間前から保菌者となっている可能性があります。

治療

子どもが体調不良である場合でも、RSVを医者に診てもらう必要はありません。米国小児科学会(AAP:American Academy of Pediatrics)は、以下のような風邪を引いたときに似た方法でRSVを治療することを勧めています。
・清澄液を十分に与える
・冷たいミストの出る蒸発器を使う
・頻繁に鼻をかませたり幼児用の吸入器を使って子どもの鼻詰まりをなくす
・非アスピリン鎮痛剤(パラセタモール)を使って熱や痛みを治す

ただし、赤ちゃんが早産で生まれた場合、先天的な心疾患で苦しんでいる場合、あるいは合併症になる危険性を高めるような他の症状を抱えている場合には、食欲不振、発熱、鼻水、咳などの重度の風邪の症状に気づいたらすぐに医者に連絡しましょう。一般的な風邪の症状は、RSV合併症になる危険性が低い子どもにとっては心配することではないかもしれませんが、米国小児科学会は、どんな子どもでも以下のような症状に気づいた場合には医者に連絡することを推奨しています。
・高熱
・苦しそうで早い呼吸をしている、あるいはぜいぜい息をしている
・肌の色が灰色または青みがかっている
・咳の悪化
・極度の昏睡状態

予防

あいにく、RSVはワクチン投与をすることのできない小児病のひとつです。2014年、米国小児科学会は、シナジス(重度のRSVを予防する薬)を妊娠29週未満で生まれた乳児あるいは先天性心疾患や慢性的な肺病などの一定の病気にかかっている乳児にのみ処方するよう医者に強く勧める新たな勧告を発表しました。リスクの高くないその他の乳児に対しては、この薬はぜんそくなどのより深刻な副作用が起こる可能性を減らすわけではないと米国小児科学会は述べています。ほとんどの場合、最善の防御は十分な予防です。

赤ちゃんを含む家族全員が、必ず定期的に手を洗うようにしましょう。生後6ヶ月以上の家族は皆インフルエンザの予防接種を受け、RSV感染率の高くなる冬の間に免疫系を弱めてしまう可能性のある他のウイルスに感染する機会を制限することも必要です。洗面台、蛇口、ドアノブなどの家の中にあるものの表面を使い捨ての殺菌タオルで拭くことによって、家族や友人が運んでくるおそれのあるウイルスから小さな子どもを守ることができます。そして、禁煙することによって子どもを守りましょう。喫煙者は子どもに伝染する可能性のある呼吸器系の感染症にかかる危険性が非常に高いのです。

母乳育児によってRSVを予防する抗体を赤ちゃんに与えることができます。赤ちゃんが非衛生的なものを口の中に入れてしまわないか注意深く観察することも必要です。赤ちゃんのおもちゃ、おしゃぶり、赤ちゃんが噛もうとしてしまうことが多いものは定期的に消毒をして衛生的にしておきましょう。赤ちゃんが保育所や保育者のもとで過ごしている場合、レクリエーションや遠足の際には赤ちゃんに自分のおもちゃだけで遊ばせるように保育者に相談しましょう。自分の赤ちゃんのおもちゃを他の子どもと共用したくないということを他の親や保育者に伝えるということはまったく問題ないことであるということを覚えておいてください。ものを分かち合うということを子どもに教える時はいつか来るでしょう。しかし、風邪やインフルエンザが流行する季節には、赤ちゃんがRSVに感染している人が触った可能性のあるおもちゃやその他のあらゆるものに接触することを制限することが最善です。

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