ニキビ治療の処方薬についての基礎知識

その他

抗生物質

抗生物質は、肌の表面(局所)または経口(全身)で使うことができます。抗生物質は、ニキビの原因となる細菌を除去したり、炎症を軽くしたりする働きをします。クリーム、ジェル、液体、パッド、およびローションで利用できる局所製品がいくつかあります。

局所抗生物質は肌に浸透し、根深いニキビを取り除くのに対し、全身抗生物質は全身および皮脂腺に行き渡ります。もっとも、全身抗生物質は、局所抗生物質よりも副作用が出ることが多い反面、重症のニキビに使うことができます。局所抗生物質は、肌の細菌が抗生物質への耐性を強める恐れがあるため、ニキビ治療としては単独で勧められません。しかしながら、局所抗生物質とともに過酸化ベンゾイルを使うと、抗生物質の耐性ができる可能性が低くなります。

局所クリンダマイシンおよびエリスロマイシンは抗炎症薬でもあり、さまざまな細菌に対して有効な抗生物質でもあります。それらは常に過酸化ベンゾイルまたは局所レチノイドと組み合わせて、肌に直接塗る必要があります。経口エリスロマイシンも使うことができますが、その効果に耐性があるかもしれないため、有用性が制限されることがあります。

そのほかに使われる経口抗生物質として、ドキシサイクリン、ミノサイクリン、およびテトラサイクリンであり、これらはすべて多くのニキビに対して非常に効果的です。

抗生物質は、ニキビの他の原因因子に対処しておらず、治るまでに数週間か数カ月かかるかもしれません。抗生物質は、毛包を「詰まらせない」薬と一緒に使われることがあります。多くのニキビ治療のための経口抗生物質は、妊娠中に服用すべきではありません。

レチノイドまたはビタミンA誘導体

これらの薬は、局所または経口の治療薬として入手できます。局所レチノイドは、肌が生まれてから剥がれ落ちるまでの方法を正常にすることで、中程度から重度のニキビを治します。過酸化ベンゾイルや経口抗生物質といったほかのニキビ製品と組み合わせて使うことができます。局所レチノイドには、経口レチノイドのような重度の副作用はありません。しかし、妊娠中の女性や授乳中の女性にはお勧めできません。局所レチノイドの副作用として、あかみ、乾燥、およびかゆみがあります。

重度の膿疱性座瘡の場合、イソトレチノイン(訳者注:日本では未承認の薬です)が最も有効な治療法です。この薬は、あらゆるニキビの原因に効果を表す唯一の薬で、他の治療法では効果がみられなかった重度のニキビも治療できることが多いです。ただし、この薬には副作用がある可能性があります。重度の先天異常を引き起こす可能性があり、妊娠中の女性や避妊薬を使用していない女性は絶対に服用してはいけません。さらに、看病をしている女性が服用してはいけません。研究によると、この薬を使っている人はうつ病や自殺、炎症性の腸の病気のリスクを高めることと関連していることが示されています。この薬の潜在的なリスクについて、医師に相談してください。

他の副作用として、肌の乾燥や唇や筋肉、関節の痛み、頭痛、中性脂肪(コレステロールの一種)の数値の上昇、まれに薄毛があります。これらの薬を服用しているほとんどの人にとって、副作用は耐えられるもので、座瘡が治る前に治療を中止する理由にはなりません。

アゼライン酸

ほかの局所薬として、アゼライン酸があります。これはジェルまたはクリーム状のもので、抗菌性および抗炎症性があります。それは、酒さと呼ばれる別のタイプの症状によく使われていますが、軽度のニキビにも効果がある場合があります。

ダプソン

ダプソンは、抗菌性および抗炎症性の局所ゲルです。
(訳者注:日本では「ジアフェニルスルホン」という名称のようです)

経口避妊薬

避妊薬には女性ホルモンが含まれていて、これが、ニキビの原因となる男性ホルモン(テストステロンなど)の影響を打ち消す働きをしています。避妊薬を使うことができるのは女性のみです。ニキビに経口避妊薬を使う最大のメリットは3~4カ月で表れます。副作用として、吐き気、体重増加、しみ、胸の圧痛、血栓などがあります。

スピロノラクトン

スピロノラクトンは、肌の皮脂腺で体のホルモンが活発になるのを抑える経口薬です。この薬はFDAで認可されたものではありませんが、月経のときに悪化するにきびがある女性に特に役立ちます(訳者注:日本では治療薬として使われているようです)。

医師が試す可能性があるもうひとつの一般的な薬は、トリアムシノロンで、直接ニキビの結節に注入されるコルチコステロイドの一種です。

ニキビ治療に関する警告

ニキビ薬を服用している患者は、副作用や他の薬やハーブ療法との相互作用に気をつける必要があります。

局所レチノイドおよび過酸化ベンゾイルは、肌を赤くし、乾燥させ、日光に過敏になる可能性があります。経口抗生物質は、日光に過敏になったり、胃の不快感の原因になることがあります。

過酸化ベンゾイルは、一部の局所レチノイドの効果を抑えることがあるので、決して同じ時間帯に塗らないようにしてください。経口抗生物質を数週間以上服用すると、女性は酵母感染の影響を受けやすくなります。

市販されているニキビ製品の中には、まれに深刻なアレルギー反応や重度の刺激を引き起こすことがあります。もし、喉の圧迫感や呼吸困難、めまいや顔や舌の腫れなどがみられた場合は、緊急の治療を受けてください。また、じんましんやかゆみが発症した場合は、製品の使用を中止してください。症状は使用か数分から1日、あるいはもっと後に現れる可能性があります。

ニキビ痕の治療

成人の中には、ニキビ痕がある人がいます。比較的積極的な外科処置によって、痕を薄くすることができるものがあります。処置には皮膚剥離、数種類のレーザー、肌の下に「充填剤」と呼ばれるものを注入、ケミカルピーリングがあります。こうした処置は傷がある肌の表面を取り除き、傷のない肌の層を出します。皮膚科医もときどき、グリコール酸やほかのケミカルピーリングを使って黒二キビを改善したり、ニキビを減らしたりします。

マイクロ・クリスタルピーリングは、ニキビそのものにはほとんど影響を与えませんが、レーザーと組み合わせると効果があります。このような治療法を検討する前に、手順、必要な予防策、および想定される結果について医師と話すことが重要です。

どうすればニキビを防ぐことができますか?

ニキビとホルモン濃度の変動と遺伝的影響の可能性に関連性があるため、防ぐ方法はないと考える医師は多いです。これまでの考え方では、清潔に保ったり食事に気をつけたりしても、ニキビの発症を防ぐことはできない、というものです。治療はニキビをコントロールし、将来ニキビができるのを最小限にとどめることです。特に青年期は、適切なスキンケアが勧められます。基本的には毎日の入浴かシャワー、そして無香料か刺激の少ない抗菌性の石けんで顔と手を洗うことがあります。

将来のニキビを予防するそのほかのヒントとして、以下のようなものがあります。

・新たにニキビができる可能性を減らし、皮膚への刺激を最小限に抑えるために、ノンコメドジェニック(毛穴を詰まらせない)ものか、敏感肌用の製品を使う
・刺激の弱い洗顔料を1日2回使う
・スクラブが入っているものや、ざらついた質感のある洗顔料や製品は使わない(肌を刺激してニキビを発症する可能性があるため)
・毎日ノンコメドジェニックの保湿剤と日焼け止めを使う
・ノンコメドジェニックの化粧品を使う
・ニキビをつまんだり、つぶしたり、中の膿などを搾り出したりしないでください。痕が残ったり、皮膚感染症の原因となる可能性があります。

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