冠動脈疾患の基礎知識~症状、原因~

冠動脈疾患とは?
冠動脈は心臓に血液を運ぶ血管です。冠動脈疾患(CAD)は、冠動脈の内壁の肥厚(ひこう)によって動脈が詰まってアテローム性動脈硬化症となり、狭心症や心筋梗塞を引き起こします。
症状
CADは発症するまでに数年かかることがあり、その症状は病気が進行するまで気づかないことがあります。 動脈が閉塞すると、以下の症状がみられることがあります。
狭心症(胸の締め付けられるような痛みや圧迫感)
息切れ
心臓発作
原因
高齢になると、長年にわたって動脈内に脂肪などが蓄積され、CADを発症する可能性が高くなります。 冠動脈の肥厚した壁の内部に蓄積した脂肪物質が血液の流れを妨げ、 心臓に十分な血液が送られないことで起こります。
また、家族内で多くみられ遺伝性が関係しているともいわれています。
心臓病は、男女を問わず主要な死因となっています。 心臓病のリスク要因には、以下のものがあげられます。
年齢
家族歴
高血圧
高コレステロール
喫煙
貧しい食事
過体重または肥満
不活発(座ってばかりいる生活様式)
糖尿病などその他の病気
予防
CADのリスクを減らすためには、以下の方法を試してください。
【禁煙する】
ニコチンは血圧を上昇させアドレナリンを放出し、血管が収縮し心臓はより速く鼓動します。 喫煙している場合は、医師に禁煙するための方法を相談してください。
【血圧をコントロールする】
高血圧がある場合は、医師の治療を受け、血圧を下げる方法を相談してください。 降圧薬を服用している場合は、医師の指示に従ってください。
【運動する】
定期的な運動は心臓を強くし、心臓病のリスクを減らすことができ高血圧を患っている場合にも役立ちます。 新しい運動を始める前には医師に相談してください。
また、低用量のアスピリンやビタミンサプリメントの摂取について医師に相談してみてください。
【健康的な食生活】
果物、野菜、肉、魚、全粒粉食品を食べましょう。加工食品、白粉、砂糖、高果糖コーンシロップ類は避けてください。 「心臓によい食事」への変更方法については医師に相談してください。
これらの生活様式の変更は何ら違いが感じられなくても、CADリスクを低下させるので安心してください。 生活様式の変更にからだが対応する時間も必要です。 数カ月間後にコレステロール値が改善しなかったら、医師はコレステロールを低下させる薬を処方するかもしれませんが、薬の働きを助けるために始めた健康的な生活様式は続ける必要があります。
治療
CADを治療するためには、以下の薬が使われます。
β遮断薬
カルシウム(Ca)拮抗薬
硝酸塩薬(狭心症の治療に使われます)
低用量のアスピリンを毎日服用すれば、すでに1回心臓発作があった人では2回目の発作を抑えることができます。 服用にあたっては医師に相談してください。
また、すべての医薬品には副作用があります。 アスピリンは胃を痛め、硝酸塩薬はのぼせ(顔面の赤み)と頭痛、 β遮断薬はまれに疲労や性的な問題、Ca拮抗薬では便秘や脚の腫れを引き起こすことがありますが、 幸いにもほとんどの人はこれらの副作用はみられていません。薬を飲んだ後に副作用がみられたときは、すぐに受診して医師の診察を受けてください。
CADの外科手術には、以下の3つ方法があります
【バルーン血管形成術(冠動脈ステント)】
バルーン血管形成術は、閉塞した心臓のまわりの動脈を押し広げる小さなバルーンを腕または脚の動脈に挿入し、ステントと呼ばれる小さな金属の筒を動脈の閉塞があった部位に挿入し、動脈を開いた状態にする手術で「冠動脈ステント」とも呼ばれます。
【冠動脈バイパス術(CABG)】
心臓の血流を増やすために、脚から静脈または動脈の一部を取って心臓の動脈に縫合するCABGは、バルーン血管形成術が不可能なときなどに行われます。
【ステント留置術】
バルーン血管形成術の場合と同様、小さなバルーンに取り付けたステントを動脈内で拡張させ、脂肪などが蓄積したアテロームを血管壁に押しつけて血流を回復します。
外科手術には、まれに心臓発作、脳卒中、最悪の場合は死にいたるなど潜在的なリスクが伴いますが、ほとんどは 数日以内に以前の活動レベル、さらに上の活動レベルまで戻ることが期待できます。 CABGでは快復するまでには数週間から数カ月の時間を要します。CADは消失しませんが、医師と協力することで、より長く生き、より気分よく過ごすことができるでしょう。
医師に質問すべき事項
CADのリスクがありますか?
リスクを軽減するためにどのように生活を変えたらよいでしょう?
どんな検査が必要ですか?
動脈にはどのくらいの閉塞がありますか? また、それはどのくらい深刻ですか?
CADの最良の治療法は、薬? それとも手術?ですか?
処方された薬は、現在服用している薬と相互作用がありますか?
すぐに治療を受けなければならない徴候は何ですか?