赤ちゃんに予防接種をするときの心配事

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赤ちゃんの予防接種

赤ちゃんに予防接種することが心配で、本当に接種しても安全なのか、また病気にかかるリスクよりも拒絶反応のほうが酷くなることはあるのか、心配したことはあるでしょうか。

Heidi Murkoff氏に意見を聞いてみました

予防接種とその安全性に心配を持つことは理解できます。特に、健康への悪影響が出た可能性についての主張を新聞やウェブサイトやテレビで知ったときは心配になります。親の中には非常に心配し、実際、子供に予防接種を拒否する人もいます。すでに一般的ではなくなった種類の伝染病を防ぐ予防接種のために、不要なリスクをなぜ負わなければならないのかと、そうした親たちは主張します。

自分の子供に予防接種を受けさせるかどうかを決定するときに、まず最初に考えなければならないことがあります。それは、こうした伝染病は、かつて子供たちを非常に危険にさらしていたことがある病気だったのですが、全国で予防接種を行うことで大幅に消滅したものであるということです。

ワクチン自体を知ることも役立つでしょう。ワクチンとは、ポリオ、ムンプス、麻疹等の特定の病気を引き起こす病原菌を微量に生ワクチンまたは不活化ワクチンとして含んでいるものです。こうした微量の病原体に体が曝された時、後にその病原体と戦うことに役立つ非常に有効な免疫反応を高めます。どれぐらい有効性があるのでしょうか。統計的にはゆれがあります。例えば、麻疹ワクチンの接種ができるようになった1963年より前は、米国において、ほぼ全ての人が20歳になる前に麻疹にかかっていました。1,000人に3人が死亡しており、数え切れない人数が重症になっていました。予防接種が可能になると、感染ケースがそれ以前と比べて99%減りました。百日咳の予防接種が開発される前は、毎年米国で何千万人と感染者、数千人の死者がでていました。今日では、米国での年間の感染ケースは7,000で、死者は10人程度です。その一方、百日咳のワクチン接種ができない世界の別の地域では、今でも毎年300,000人が百日咳で死亡しています。

一般的に、幼児期の一連のワクチン接種が子供をこうした伝染病から守っていると言えるということでしょう。しかし、自分の子供が病気に感染しないでいられるのは、他の子供たちもワクチン接種を行っているからです。その理由は、ワクチン接種を受けていない子供はこうした伝染病にかかる可能性があり、その病原体を自分の周りに広げてしまう可能性があるため、ワクチン接種を受けている、またはワクチン接種が不完全な子供や赤ちゃんに感染させてしまうかもしれないのです。このため、予防接種を受けることは、自分の子供の健康だけではなく、友人や隣人、自分の住むコミュニティーに住んでいる人たちの健康も守ります。

どんな医療処置を行う上でもそうですが、予防接種には副作用のリスクがつきものです。しかし、その発生は非常に稀です。予防接種を受けてから24-28時間内に、赤ちゃんがぐずったり、微熱を出す可能性はあります。食欲がなくなることもあります。予防接種の注射を受けた部分の痛み、赤みは多くの人が経験することですが、これは一時的なものです。

自閉症のような、深刻な副作用とはどのようなものでしょうか。1998年のMMRワクチン(麻疹、風疹、流行性耳下腺炎の3種混合ワクチン)と自閉症の関連性を報告する研究を、多くの親たちは心配しました。しかし、この研究は2004年に大規模な科学的研究を行った研究者たちによって一部撤回されました。世界の数千人子供たちがMMRワクチンを受けた後、ほんの少しでも自閉症のリスクが上がったという証拠がなかったと研究では発表しています。2010年、最初に自閉症との関連性についての研究を発表した英国誌Lancetでは、研究には不備があると結論づけられた後に、この研究を完全に撤回すると発表することを決定しました。それどころか、大規模な研究では1度に1種類以上のワクチンを接種してもリスクが高まるわけではないということが示されました。通常、数種類が混合されていますが、これは注射をする回数が減り、子供や赤ちゃんが涙を流す回数が減ることになります。

数回分の使用量を入れられる薬瓶で保管されるインフルエンザワクチンを除いて、子供用のワクチンには保存剤としてチオマーサル(thiomersal) の含有は奨励されていないため、安心して大丈夫です。チオマーサルは危険なバクテリアや菌の発生を防ぐ化合物で、非常に微量の水銀を含んでいます。ワクチン内のチオマーサルと自閉症、その他の健康への悪影響の関連性は未だ著名な科学的研究で研究結果が発表されているわけではありませんが、1999年に米国U.S.Public Health Serviceは予防的手段として、乳幼児が水銀に曝されることをできる限り減らす目的で、ワクチンから保存料としてチオマーサルを取り除くように勧告しました。現在は、テルモサール(Thermosal)が唯一、数回分の使用量を入れられる薬瓶で保管されるインフルエンザワクチンに使用する保存剤として使われています。乳幼児期に受ける予防接種ワクチンには、チオマーサルは含まれていないか、またはチオマーサルの量はゼロに近い量しか含まれていません。

ワクチンのことを考えることは、怖ろしくなることかもしれません。しかし、予防接種について賛成反対の意見を天秤にかけると、通常は副作用はほんの少しで、それが防ごうとしている病気から確かに防いでくれるものであることに重要性があることは非常にはっきりしていることでしょう。

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