骨盤輪不安定症(SPD)の基礎知識

骨盤輪不安定症(SPD)とは
体を伸ばすことは精神的には良いかもしれませんが、骨盤にとっては必ずしも良いものとは限りません。妊娠中に骨盤骨の周りの靭帯が緩みすぎたときの対処法についてまとめました。
骨盤輪不安定症(SPD)は、妊娠中に骨盤の骨を整列させる靭帯が、出産よりもだいぶ前に緩んで伸びてしまうものです。通常は、出産が近くなってから少しずつ緩み始めます。SPDになると、恥骨結合という名前で知られている骨盤の関節が不安定になり、骨盤周辺に不快感を覚え、時には痛みを引き起こします。
妊娠中にSPDになる確率はどれくらいですか?
SPDと診断されるのは、300件の妊娠のうち1件程度ですが、一部の専門家は、すべての妊婦の2%以上がSPDを経験すると考えています。
SPDの兆候と症状は何ですか?
骨盤が引き裂かれるような痛みを経験し、あまりの痛みに歩くことが困難になる人が多いです。通常、痛みは恥骨領域に集中してますが、大腿部および会陰部にあらわれる人もいます。
歩いたり体重を支えなくてはならないときに痛みが強くなります。特に、階段を上がったり、着替えたり、車を乗り降りするとき、寝返りを打つときなどの、片方の脚を持ち上げる動きをしたときに、痛みが悪化します。
SPDの原因は何ですか?
SPDの背景にあるのは、リラキシンという名前のホルモンです。このホルモンは、出産のときに赤ちゃんが出てきやすいように靭帯を伸ばす働きがあります。時に、リラキシンの分泌が多すぎると、出産よりもかなり早い段階で骨盤骨の周りの靭帯が緩くなってしまい、骨盤の関節が不安定になり、痛みが生じます。
知っておいたほうがいいこと
まれに、恥骨結合機能不全もしくは恥骨結合離開と呼ばれる、結合部が離れてしまう減少が起きることがあります。これは、骨盤、鼠頸部、腰、臀部に激しい痛みが生じます。
SPDになると、自然分娩が極めて難しくなる場合がまれにあります。その場合、帝王切開での出産になります。また、出産後にSPDが悪化し、治療が必要となる場合も、ごくわずかですが、あります。しかし、多くの女性の場合、赤ちゃんが産まれるとリラキシンが分泌されなくなり、靭帯も元通りになります。
何かできることはありますか?
・骨盤をサポートするためのベルトを使ってみてください。インターネットでも購入することができます。骨盤骨を正常な位置に戻す、コルセットのような役割を果たします。
・ケーゲル体操(骨盤底筋の体操)や股関節の柔軟体操をしてみてください。定期的に骨盤を動かすことで、周辺の筋肉を強化することができます。
・痛みを引き起こすきっかけになりそうな動きを避けてください。着替えるときは座るようにし、重いものを持ち上げたり押したりしないでください。
・痛みがひどい場合は、痛み止めを飲んでもいいかどうか、医者に相談してください。