赤ちゃん人形シミュレーターで10代の妊娠率が上がるかも?

赤ちゃん人形シミュレーターについて
10代の女の子には人形の世話をしているときに受ける注目を楽しんでいる子がいるのかもしれません。
人形シミュレーターは赤ちゃんを設ける現実を過度に単純化してしまうかもしれません。
「赤ちゃんを持つ実際の経験をシミュレーションし10代での妊娠を思いとどまらせようとする電気仕掛けの赤ちゃんと触れ合った少女たちはより妊娠率が高い」とガーディアン紙は報じています。
「赤ちゃんシミュレーター」という、赤ちゃんが泣くことを通じて食事とおむつを交換する時期を訴えるのを真似た人形には、本物の赤ちゃんの面倒を見る試練を見せるという目的があります。
新しいオーストラリアの研究では、赤ちゃんシミュレータープログラムの1種である仮想新生児保育(VIP)が10代の妊婦の出産と妊娠中絶への誘導の結果へどのような影響を及ぼすかが調査されました。
結果によればこのプログラムは10代の妊娠防止を助長することにはならず、実際にはそのリスクを高めてしまうようです。
プログラムに参加した女の子のグループでは、ふつうのアドヴァイスを受けた比較群の女子グループ11%が10代で妊娠したのに対し、17%が10代のうちに最低1回は妊娠していたのです。
この研究はたとえもっとも有意義な介入であれ、実際の経験に基づかなければ、意図したのと間逆の効果をもたらすことがあるという事実を強調するものとなりました。もっとも悪名高い、古いアドバイスである赤ちゃんはお腹を下にして寝かせなさいというものは、今では乳幼児突然死症候群(SIDS)の潜在的原因として知られています。
ほとんどのイギリスの専門家は10代の妊娠を防ぐもっとも効果的な方法は客観的な関係性のアドバイスと安くて信頼のできる避妊法への経路を提供することであると主張しています。最近報じられたように、これらの方法で、1998年以降10代の妊娠は半減しました。
どこからこのような話は出てきたのでしょう?
オーストラリアでの調査は西オーストラリア大学、アデレード大学やノートルダムオーストラリア大学などを含むたくさんの機関によって実施されました。
研究は西オーストラリア健康促進研究財団(Healthway)、西オーストラリア宝くじ(Lotteries WA)、西オーストラリア教育訓練局、そして西オーストラリア保健局の出資でおこなわれました。研究はThe Lancetという査読医学ジャーナルから発表されました。
このジャーナルはバーミンガム、西サセックス、南ヨークシャーなどの地域の有力者による赤ちゃんシミュレータープログラムの使用経歴に関する実用的な概評を併せ研究の最も正確な概論を報じてくれます。
このよい報道のやり方は、ウェブページに「仮想の赤ちゃん」を売るアメリカの会社の宣伝ビデオを含む話を載せていたために名を損ねてしまいました。
どんな種類の調査だったのでしょう?
これはオーストラリアにおいて10代の妊婦の出産と妊娠中絶への誘導の結果に仮想新生児保育(VIP)がもたらす効果の調査を目的としたランダム化比較試験(RCT)の集合だったのです。
ランダム化比較試験はその介入が効果的かどうかを調べる最良の基準として考えられています。「集合」というのはそれぞれの介入機関によってランダムにされた個人というよりは参加者の集団を意味します。この試験の本質は参加者と健康の専門家たちは分かっていますが、データを調査した研究者たちはどのような人たちかどうか不明瞭だということなのです。
調査には何が含まれていたのでしょう?
研究者たちはオーストラリアはパースの57の適格な学校を、28校にはVIPプログラム、29校には普通の保健教育カリキュラム、とランダムに1:1に割り当てる試験を行い記録しました。
2003年から2006年にかけて、どちらの介入も対象校の13~15歳の少女(つまり14.9歳)に向けて行われました。計2834人の女の子(1267人はVIPプログラム、1567人は普通の教育プログラム)が研究に含まれました。
シミュレーション人形の面倒を見ながら、参加者は性健康、避妊と赤ちゃんをもつことの経済的側面に焦点を当てた教育を連続して受講しました。
研究者たちは参加者を病院の医療的記録、中絶診療の記録、10代における妊娠(自然な出産や死産、分娩誘導による中絶などとして定義されます)の発生の記録などを通じ20歳になるまで追いました。
データは2つの研究グループ間の妊娠率の違いをはかるため分析されました。初めての妊娠だけが分析に使われました。潜在的な混乱因子はこのように調節されました。
社会経済的地位
家族のタイプ
それ以前に女性が性交したことがあったか
赤ちゃんの面倒を見る
教育的な学識
心理的な苦痛の段階
彼女がアルコールを飲むかどうか
直近の喫煙状態
基本的結果は?
結果的に、VIPプログラムに参加した女の子たちはふつうのカリキュラムを受講した人たちよりも妊娠の経験があるということが示されました。
概して、研究に参加した女の子の13%(378人)最低でも1回(産んでも中絶しても)10代のうちに妊娠を経験していたのです。妊娠を記録した女の子の割合はVIPの介入があったグループのほうが17%(1267人中210人)と、統制を受けていた比較群の11%(1567人中168人)より高い結果でした。これはつまり、この干渉は明確に高い妊娠率(1.10と1.67の間の約1.3695%)と関連があるということなのです。
加えて、VIPのグループの女の子の出産率8%(1267人中97人)も同様に比較群グループの4%(1567人中67人)より高かったのです。しかし、比較群が介入のあったグループより300人以上参加者が多かったことは注目すべき点であり、もし人数がまったく同じであったら割合は違っていたかもしれません。
378人の女の子のうち4分の3は1度しか妊娠を経験していませんでした。残りの93人は2度以上の妊娠を、19人は2人以上を出産、26人は2回以上中絶をしていたのです。
どのように研究者は結果を解釈したのでしょう?
研究者たちは結論付けました。「この研究は赤ちゃんシミュレーターをベースにしたVIPプログラムでは、出産と人工中絶の記録ではかられた通り、オーストラリアの10代の妊娠のリスクを軽減はできないことを示しました。VIPプログラムを経験した少女たちのリスクはそうでない女の子たちよりも高かったのです。」
結論
この試験では、オーストラリアの10代の女の子における仮想新生児保育(VIP)プログラム使用が妊娠と出産、人工中絶に与える効果を調べました。期待とは反対に、VIPプログラムに参加した女の子は実際には普通の教育課程を履修した子たちより妊娠(出産も人工中絶も含む)を多く記録していたのです。
この試験はよい研究計画をもち、適切なサンプルサイズをしていました。しかし、心に留めておくべきことがいくつかあります。
これらの発見は興味深いものではありますが、オーストラリアの研究です。社会、生活様式要因はイギリスの女の子たちと異なることがあります。
プログラムは特に女の子に焦点を当てていますが、一方男の子たちも10代の妊娠には平等な役割を担っています。アメリカでは、似たプログラムが男女ともに受け入れられています。
The Lancetの編集部と付随して、健康研究者のジュリー・クウィンリヴァンはなぜオーストラリアの方策では反対の効果が出たのかについていくつもの示唆をあたえています。(上で述べたように)この示唆には「タンゴを踊るには2人が必要」、つまり10代の男の子たちが何のトレーニングも受けておらず、人形を使う10代の女の子は妊娠について前向きな反応を得たかもしれないのです。
この国での現在の方法は避妊法へいたる情報と同様に(いつでもどのように性交を断るかなどを含む)性と性的関係についての客観的なアドバイスに基づいています。