尿路感染症(UTI)の基礎知識~原因、症状~

症状

尿路感染症とは?

尿路感染症は、尿路で起こる感染症の総称です。尿路では、尿が作られ、溜められ、体外に排出されます。尿路感染症は、抗生物質で簡単に治療をすることができますが、治療しないでおくと腎臓に悪影響を与えてしまいます。また、自宅で行える尿路感染症の予防法もあります。
尿路は、以下の臓器で構成されています。

・腎臓:血液から老廃物を集め、尿を作る
・尿管:腎臓から膀胱に尿を運ぶ
・膀胱:いっぱいになるまで尿を溜めておくことができる
・尿道:排尿するときに尿を体外に排出するための短い管

尿路感染症の原因はなんですか?

尿路に細菌が侵入することで、尿路感染症にかかることがあります。感染する原因には、さまざまなものがあります。

・排便後に、後ろから前に向かって拭くと、細菌が尿道に入りやすくなります。女性の場合、尿道の出口は膣の前に位置しています。
・セックスをすることで、細菌が侵入しやすくなります。膣に入った細菌が、尿道に入り込んでしまいます。
・尿を我慢してしまうと、膀胱に尿が長いこと溜まった状態になるため、細菌が増えやすくなる上に、悪化しやすくなってしまいます。
・避妊のためにペッサリーを使ったり、殺精子剤とペッサリーやコンドームを併用すると、感染しやすくなります。
・腎臓結石など、膀胱を空にすることを難しくしている原因がある場合、発症しやすくなります。
・糖尿病を発症していると、ほかの病気と闘う体力が弱まってしまうため、感染しやすくなります。
・エストロゲンと呼ばれるホルモンが低下したり、閉経後に膣に変化が起こると、感染しやすくなります。
・カテーテルを入れている場合、発症しやすくなります。カテーテルは、尿道と膀胱をつなぐために入れる細い管です。これは、自力で排尿することができない場合などに通すことがあります。

尿路感染症の症状にはどのようなものがありますか?

感染症を発症したら、以下のような症状が出ることがあります。

・排尿時の痛み
・猛烈に尿意を催すが、実際は少ししか尿が出ない
・下腹部の圧迫感
・尿が嫌なにおいがしたり、色が白っぽかったり、にごっていたり、赤っぽい。尿に血が混じっていたら、すぐに病院に行ってください。
・疲労感がある、ふらふらする、熱がある

医師はどのようにして尿路感染症かどうかわかるのですか?

尿路感染症かどうかを調べるためには、尿検査が必要です。医師か看護師に、きれいなプラスチックのコップと特殊な拭き取りシートを渡されます。コップを開ける前に、手を洗います。コップを開けたら、蓋の内側やコップの内側にはさわらないでください。コップをすぐ手の届くところに置きます。陰唇(膣の外側にある唇)を片方の手で離し、そのまま指でその状態を維持します。もう一つの手で、拭き取りシートを使って生殖器部を拭きます。このとき、前から後ろに向かって拭きます。肛門を触ったり拭いたりしないでください。陰唇をそのまま指で離した状態を保ったまま、便器に少量排尿し、残りをコップにします。これは、中間尿採取法と呼ばれるやり方です。コップがいっぱいになったら、便器に排尿してください。

尿路感染症になりやすい傾向にある場合、尿路をX線あるいは超音波で撮影することがあります。写真をみることで、腫れ、結石、閉塞物がないかどうかが分かります。また、膀胱鏡を使って膀胱を見ることもあります。膀胱鏡は、尿道と膀胱の内部を見るために尿道に挿入される小さな管です。

尿路感染症はどのようにして治療するのですか?

尿路感染症は、感染症を引き起こす原因となっている細菌を殺すための抗生物質を服用することで治療することができます。医師が、どれくらいの期間の服用が必要かについて教えてくれるでしょう。症状が改善されても、処方された薬は飲みきるようにしましょう。多くの女性は、1日か2日程度で症状が改善します。

尿路感染症の薬を飲まないと、体のほかの臓器を傷つける恐れがあります。また、妊娠中に尿路感染症の症状が疑われる場合は、すぐに病院に行ってください。尿路感染症は、早産や高血圧など、妊娠に影響を及ぼす場合があります。妊娠中の女性が尿路感染症にかかると、腎臓の方まで感染が広がってしまいやすくなります。

尿路感染症にかかると腎臓にダメージを受けますか?

すぐに治療されれば、腎臓や尿路を傷つける可能性は少なくなります。しかし、治療しないで放置してしまうと、腎臓や体の他の器官に深刻な異常を引き起こしてしまう恐れがあります。

尿路感染症を防ぐためにできることはありますか?

以下に、予防法をご説明します。これらを守っていても、感染してしまうこともあります。症状が出たら、病院に連絡してください。

・尿意があったときに排尿するようにしましょう。我慢しないようにしてください。セックスの前後に排尿するようにしましょう。排尿や排便後に拭くときは、前から後ろに向かって拭くようにしましょう。
・毎日水を飲みましょう。セックスの後にも飲むようにしましょう。1日にコップ6~8杯の水を飲むことを目標にしましょう。
・ビデや女性用の衛生スプレーを使用しないようにしましょう。
・尿路感染症を再発しやすく、避妊に殺精子剤を使っている場合、医師に相談してほかの避妊方法を検討しましょう。
・性器に触れる部分に綿が使われている下着を履くようにしましょう。身体に密着するようなきついものは、湿気を溜め込んでしまうため、おすすめできません。
・湯船には浸からず、シャワーにしましょう。

尿路感染症を再発しやすいです。医師は助けてくれますか?

尿路感染症を発症する女性の5人に1人は、再発するといわれています。女性によっては、一年間に3回かそれ以上発症する人もいます。尿路感染症にかかりやすい傾向にある場合、ほかの治療方法がないかどうか医師と相談しましょう。感染を防ぐために、少量の薬を毎日飲むようにすすめられるかもしれません。または、セックス後や、初期症状が出たら飲むための抗生物質を処方してくれるかもしれません。感染症を再発する原因を、尿検査や、その他の特別な検査によって調べることもできるかもしれません。相談してみてください。

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