特別支援を必要とする子供に上手な食べ方を教えるヒント

食事のときのヒント
特別支援を必要とする子供は、自分で食事する方法を学習するのに、普通の子供よりも長くかかるかもしれません。以下の、食事の時のヒントを読んでみてください。
食事をすることは、障害のある子どもにとっては特に難しいことです。フォークを持つのが難しいといった精巧な運動能力の欠如や、麻痺、見えないなどの感覚的な制限、調和障害といった要因で学習が遅れてしまうのです。これは親と子、双方にとってストレスの溜まることかもしれません。
著者であるデボラ・フレンチ(Deborah French)には4人の子供がいますが、そのうち2人は特別支援を必要としています。長女のアマリヤはダウン症候群で、息子のヘンリーは自閉症スペクトル障害をわずらっています。「一般的に、他者との交流には食事も含まれます。ですので、きちんと食べる術を学ぶことは、子供たちが融和するためには必要不可欠なのです。」
特別支援を必要とする子供たちのための料理教室も運営しているデボラは、子供たちのテーブルマナーについて彼らに口やかましく言うことは意味がないと気がつきました。その代わりに、彼らの学習を手伝うための実用的かつ即効性のある解決策を編み出したのです。
デボラ流、幸せな食事のヒント
1.忍耐強くなること
「子供に教えようとしているときにストレスや不満が顔に出ると、子供はその雰囲気を反映して、そういう風に行動します。子供たちは間違えたときの反応を恐れて、結果的に一生懸命取り組むことが出来なくなってしまいます。指示は落ち着いて出して、明るく励ましてあげてください。」
2.子供用エプロンを買うこと
「たとえ子供が大きくなっても、衣服を汚さないためによだれ掛けをつけなければならないかもしれませんが、これは他の家族や友達の前でつけるにはあまりにも恥ずかしいかもしれません。その点エプロンのほうが目立たないので、食事が始まる前から既に子供が憂鬱である、といったネガティブな感情を取り除くことができるでしょう。」
3.食事の準備を手伝うように勧める
「子供の障害の種類にかかわらず、夕食の準備に関わる時間をあげてください。あなたが食器やカップ、ナプキンを置いている場面を見るだけでも、子供は参加できたように感じられます。これをしている間、子供に何をしているのか、何のためにしているのか教えてあげてください。たとえば、『お皿の上の食べ物を指でつかむ代わりに、フォークを使うのよ。そうすれば指ではなくてフォークが汚れるだけだから。』といった具合です。」
4.ナイフやフォークは重いものを、食器は堅いものを
「破損を避けたり後片付けを楽にするために、私たちは親として無意識のうちにプラスチックや使い捨ての食器を選びがちです。しかし筋緊張が上昇、もしくは低下している子供や、高い運動機能に問題を抱えている子供にとっては、プラスチックのフォークは空気のようなものなのです。彼らは自分たちが握っているナイフやフォークの感覚を感じる必要があります。不安定で倒れやすいプラスチックの皿やカップにも同じことが言えます。しっかりとしたナイフやフォーク、食器を使うことで、子供に食べ方を教えやすくなるでしょう。」
5.子供と一緒にご飯を食べる
「もし子供よりも遅い時間に食事をする場合は、少なくとも子供が食べている間は一緒に同じテーブルについていてください。たとえコーヒーや軽食であっても、あなたがいることで子供は勇気付けられます。その後、自分の食事や、食器をどう使うのかについて話してあげてください。そのとき、子供がどれくらいのスピードであなたの行動を真似するのかメモを取っておきましょう。」
6.手の届くところに鏡と濡れ布巾を置いておく
「子供に自己認識を教える最も効果的な方法は、自分自身の姿を見させることです。私たち大人でも、友達と食事を楽しんだ後で、食べかすが、たいてい緑色なのですが、前歯の間に挟まっていたのに気づかなかったということが度々ありませんか?子供に食後、顔に食べ物が残っていると教えてあげるのにも、この理論が使えるでしょう。彼らが席をたつ前に、目の前に鏡を置いて自分の姿を見るように促し、濡れた布巾で綺麗にするように教えてあげてください。」
7.自分が座っていたところを綺麗にさせる
「繰り返しになりますが、子供の障害の程度に関わらず、それぞれの能力に応じて片付けに参加させるようにしてください。これはあなたに皿を手渡したり、あるいは流しまで持って行ったり、さらに自分の席を出来るだけ綺麗にするという過程も含まれるでしょう。どんな程度の参加であっても、食事中の自意識と義務を育むのに役立ちます。」
「誰しも評価され、必要とされることが好きなのだと覚えておくことが大切です。子供に責任を与えれば、それはあなたと家族にとって大切なものになるでしょう。それが今度は子供の自信を高め、学習スピードをあげることにつながるのです。」
飲食の専門器具
子供に良い食事の仕方を教える時に、専門器具を使うことでものすごい効果を感じられるかもしれません。食糧慈善団体であるザ・キャロラインウォーカートラスト(The Caroline Walker Trust)は、学習障害を持つ子供の親に数々のお助けグッズを紹介しています。
たとえば、
・形の違うカップ:取っ手の数、重さ、素材、透明性、デザインの異なるもの、ただしかまれたときに破損したりしないように設計されているもの。
・透明なカップ:どれくらいの量を飲んだかがわかりやすいので、誰かに飲ませるときに役立ちます。
・異なる形、大きさ、深さ、素材の食器:繰り返しになりますが、かまれたときに破損しないもので、食器を口の中に入れた際に咬反射を起こす人にはかたいプラスチック製のものや、プラスチック加工された金属のものを用いると良いかもしれません。フォークやナイフの柄は短いほうが扱いやすく、握りがあるものや形が不規則なもののほうが道具を使うときに便利でしょう。
滑らない皿やボウル:こぼさないようにふちが高くなっているものや、食べやすいように角度がつけられているものなど。
断熱食器:食事に時間がかかるときに、食べ物を温かいままにしておくため。
滑り止めマット:食器が滑らないようにするため。
・ストロー:さまざまな幅があり、吸う力が弱い人向けです。
・給食システム:回転する皿や、電動スプーンなど、食事をしている人の口に直接食べ物を届けられるもの。電動のものもあれば、手動、もしくは足動のものもあります。
といったものがあります。