最も一般的な5つの妊娠スクリーニング/診断検査

検査方法

出生前診断とは

出生前診断に関してよく分からないことがありますか?以下で、実施する可能性のある最も一般的な検査を簡単に比較してあります。これらの検査では、先天性心疾患、染色体異常、神経管欠損など、妊婦や胎児のさまざまな病状に関するリスクを知ることができます。

妊婦は、毎日妊婦用ビタミン剤を飲み、大量の果物や野菜を食べ、夜には8時間の睡眠をとっていることでしょう。このような段階を踏むことで、健康な妊娠生活、そして健康な赤ちゃんを産むことを保障することができるのです。医者や助産師は、赤ちゃんが予定通り成長するために実施することのできるいくつかの出生前検査について早い段階で妊婦に説明するかもしれません。

医者が提案する可能性のある検査には共通点が多くありますが、一方でいくつかの大きな違いも存在しています。検査によって、先天性心疾患、ダウン症のような染色体異常、二分脊椎症のような神経管欠損など、赤ちゃんのさまざまな病状に関するリスクを知ることができるでしょう。項部浮腫測定(NT)、無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)、クアッドスクリーンなどのスクリーニング検査は無侵襲的なもの、つまり妊婦や胎児にとってまったく安全なものですが、特定の一般的な先天性欠損に関する胎児のリスクしか検査することができません。絨毛検査(CVS)や羊水検査などの診断検査では、遺伝子や染色体異常から引き起こされる多くの先天性欠損を、スクリーニング検査よりも正確に診断することができます。しかし、この検査は侵襲的なものであるため、ほんのわずかではありますが流産のリスクがあります。医療従事者が実施する検査はすべて任意のものであり、有用性、年齢、病歴、胎児の妊娠期間、保険による保障、その他の要因などによって受ける検査は変わってきます。以下に、受けることになる可能性の高い5つのスクリーニング検査・診断検査の簡単な説明と比較を挙げます。

項部浮腫スクリーニング検査(NT検査)

○どんな検査か
NT検査はくびひだ(胎児の首の後ろにある体液がたまっている場所)を測定する超音波検査のことで、胎児がダウン症やその他の染色体疾患になる危険性を診断するものです。心疾患について調べるために胎児の心臓も検査します。

○実施時期
妊娠初期。一般的に11~13週目ごろ。(くびひだは胎児が成長するにつれて判別しにくくなります)

○対象者
NT検査は、妊娠初期の規定された出生前診断の一環として、すべての妊婦に対して行われることがあります。この検査は広い範囲で実施されていますが、田舎などのいくつかの地域には、超音波機器がなかったり、検査を行うための専門的技術のある専門家がいない可能性があります。

○検査で分かること
このスクリーニング検査によって、胎児の年齢を正確に知ることができ、妊娠中の早い段階で胎児の健康や発達状態についてより多くの情報を得ることができます。NT検査では偽陰性や先天性欠損に関する陽性反応が出やすいため、ほとんどの医者はこの検査での結果を確実なものにするために妊娠初期の血液検査やNIPTも同時に行うことを勧めています。

○費用
保険会社はNT検査を規定された出生前治療の一部であるとみなしているため、この検査には通常保険が適用されます。

妊娠中期の血液検査/クアッドスクリーン

○どんな検査か
クアッドスクリーンはリスクのない血液検査のことで、特定の染色体異常や二分脊椎症などの神経管欠損やどのリスクを発見することができます。この検査では、α-フェトプロテイン(AFP)、非抱合エストリオール(EU)、ヒト絨毛性ゴナドトロピン(hCG)、インヒビンAという、血液中に見られる4つの物質を測定します。

○実施時期
妊娠中期。14~22週目の間。

○対象者
この独立したスクリーニング検査は、妊娠初期の血液検査とともに行われるNT検査よりは正確性に欠けます。そのため、この検査は通常、妊娠の段階が進んだ(妊娠初期を過ぎた)妊婦にのみ推奨されています。そして、現在では、新しくより正確なスクリーニングや検査を受けることができるため、医者はクアッドスクリーンを飛ばしてNIPTや診断検査(羊水検査など)を受けるように勧める可能性があります。

○検査で分かること
このスクリーニング検査の結果によって、侵襲的ではあるもののより正確な検査である羊水検査を受けるかどうか決めることができます。より正確で新しい検査であるNIPTは、受けることのできない地域もあり、保険によって保障されていないので、医者はNIPTの代わりにクアッドスクリーンを推奨する可能性もあります。医者にクアッドスクリーンを勧められたものの、NIPTを受けるべきではないかと考えている場合は、自分の選択肢について質問してみましょう。

○費用
ほとんどの保険会社はこの血液検査を規定されたものとみなしているので、おそらく保険を適用することができるでしょう。

無侵襲的出生前遺伝学的検査(NIPT)

○どんな検査か
NIPTは新しい無侵襲的血液検査であり、この検査による流産のリスクはありません。ダウン症などの染色体異常や遺伝子異常を発見する点においては、妊婦の血清を調べる他のスクリーニング検査よりも正確ですが、神経管欠損を検査することはできません。この検査では、赤ちゃんの血液型や性別も診断することができます。NIPTは通常、超音波検査とともに行われます。結果によって問題があることが判明した場合、医者は絨毛検査や羊水検査などのより決定的な診断検査を勧める可能性があります。

○実施時期
9週目以降ならいつでも実施することができます。

○対象者
現在、NIPTは35歳以上の女性、あるいは特定の病状に対してリスクが高いと考えられる女性に勧められています。米国産婦人科学会(ACOG)は、染色体異常のリスクが低い女性や複数の胎児を妊娠している女性にはNIPTを推奨していません。この検査はこのようなタイプの人に行うという点においては十分に評価されていないためです。

○検査で分かること
NIPTはダウン症やその他の染色体異常を調べるためには最も正確性のある血液検査です。そして、他の検査やスクリーニングよりも早い段階で行うことができます。NIPTにはさまざまなタイプがあり、発見できる症候群やその正確性などがタイプによって異なるため、医者とともにどの検査を選ぶかについて相談しましょう。

○費用
居住地、年齢、その他のリスク要因、胎児の妊娠期間などのいくつかの要素によって、NIPTの費用は異なります。NIPTを適用外としている保険会社もあるため、自分の保険で保障されているのかについて理解するために医者と相談しましょう。

絨毛検査(CVS)

○どんな検査か
CVSは、経腹的あるいは経膣的に胎児の胎盤から採取された少量の細胞サンプルを用いて行われる診断検査です。この検査はNT超音波検査とともに行われ、染色体異常や遺伝子異常を診断します(ただし、二分脊椎症などの神経管欠損は発見することができません)。CVSは侵襲的な検査なので、流産になってしまうリスクもわずかながら存在しています。

○実施時期
妊娠初期。通常、11~13週目の間。

○対象者
この検査は、妊娠の早期の段階で情報を得たい女性にはうってつけのものです。CVSは、NT検査で陽性が出た後、そして付随の血液検査(NIPTや妊娠初期血液検査)の後に行うことができ、より決定的な診断をすることができます。特に、羊水検査が行えるようになる妊娠中期まで待つことを望まない場合には有効な検査です。この検査によって父親が誰であるかを決定することもできます。

○検査で分かること
CVSは、ダウン症などの特定の染色体疾患や嚢胞性繊維症などの遺伝子異常、筋ジストロフィーを、NT検査やクアッドスクリーン、NIPTよりも確実に診断します。遺伝子カウンセリングを受けることによって、この検査が自分に適しているか、そして検査で陽性が出た場合に取るべき最良の選択は何かについて決定することができるかもしれません。

○費用
一般的にCVSは保険が適用されますが、35歳以下である場合、特定の病状に関してリスクが低いとみなされている場合、あるいは妊娠初期の検査の結果で異常が見られなかった場合には適用されない可能性があります。

羊水検査

○どんな検査か
羊水検査は、細い針を使って、胎児の細胞が含まれている羊水を少量採取することによって行われる診断検査です。この検査はCVSよりも包括的な診断検査で、ダウン症などのほぼすべての染色体疾患、何百種ものその他の遺伝子疾患(鎌状赤血球症など)、神経管欠損(二分脊椎症)を診断することができます。しかし、口唇裂や口蓋裂などの奇形は見つけることができませんし、病状の深刻さも診断することはできません。CVSのように、流産の可能性もわずかながら含んでいます。

○実施時期
通常16~20週目の間。

○対象者
羊水検査は通常、35歳以上である場合、特定の異常性に対するリスクが高い場合、NT、NIPT、クアッドスクリーンなどの検査で陽性の結果がでた場合に推奨されています。

○検査で分かること
医者は、NT検査やNIPT、クアッドスクリーンなどで陽性の結果が出た場合に、より決定的な結果を得るために羊水検査を勧めるかもしれません。なぜCVSではなく羊水検査なのでしょうか?妊娠初期の間にCVSの実施の機会を逃してしまった場合に羊水検査の実施を求める妊婦もいますし、羊水検査ではCVSでは調べられない神経管欠損を見つけることができるから、そして流産になる危険性がCVSよりも低いからという理由で羊水検査を選択する妊婦もいます。

○費用
保険会社は一般的にこの検査を保険適用の対象としていますが、妊娠初期・中期の検査で異常がなかった場合や35歳以下である場合には、適用されない可能性があります。

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