高齢者が暑い気候の下で安全に過ごすために注意すべきこと

症状

高齢者の熱中症

夏季はしばしば気温が極度に高まり、高熱症等の熱関連の病気にかかりやすくなります。高齢者や慢性的な健康問題を抱えている人は高熱症に罹患する可能性が特に高く、熱関連の死の危険にさらされます。高熱症は、身体の体温調節メカニズムが熱に対処できなくなった際に起こります。熱ばて、熱射病性失神(熱に長時間さらされた後に突然やってくるめまい)、熱痙攣、熱中症は全て高熱症に含まれます。これらの状態は特に高齢者に健康上のリスクをもたらしますが、外気の温度、全般的な健康状態、個々人の生活スタイル等の要素が組み合わさってこのリスクは更に高まる可能性があります。
高熱症のリスクを高める可能性のある要素には以下のものがあります。

・脱水症
・アルコール摂取
・高血圧やその他の健康問題が理由で、食生活の改変を余儀なくされている状態。例えば、塩分摂取量を制限されている人はリスクが高まる可能性があります。但し、塩分接取のための薬剤(ソルト・ピル)等の服用は医師の許可を得てから行いましょう。
・心臓、肺、腎臓の病気等、身体を脆弱化させたり発熱を引き起こしたりする病気を抱えている場合。
・複数の薬剤を服用している状態。しかしながら、処方された薬剤を服用し続けつつ、起こり得る問題について医師と話し合うことが重要です。
・発汗量が少なくなっている状態。(利尿薬、鎮静剤、精神安定薬、その他心臓や血圧処置用の薬等を服用によって引き起こされる。)
・血液循環の低下や汗腺の機能不全等、年齢に依拠する皮膚の変化。
・過度に体重が大きかったり小さかったりする状態。

暑い気候の下で高熱症のリスクを増大させる要素のうち、生活に関連したものとしては、水分補給の不十分、エアコンの無い環境に住んでいること、機動性の低さ、交通機関を利用できないこと、厚着、人ごみを訪れること、気候の状態に適応する術を知らないこと等があります。高齢者、特に慢性的な健康問題を抱えている人は、暑くて湿度の高い日には屋内で過ごすことが適切でしょう。これは大気汚染警報が発令されている場合などは尚更です。家にエアコンがない場合は、シニアセンター、ショッピング・モール、映画館、図書館等、エアコンのある場所に行くべきです。
熱関連の病気に苦しんでいると思われる人に対しては、以下のことを行ってください。

・暑い環境から退去させ、日陰やエアコンの効いた場所等、涼しい場所に連れて行きましょう。
・横になるよう促しましょう。
・熱中症の可能性が疑われる場合は、救急車を呼びましょう。
・冷たい水でシャワーを浴びるか、冷水に浸かるよう勧めましょう。
・濡れた、冷たい布などを手首、首、わきの下、股間にあてましょう。これらは血管が皮膚表面に近いところに位置しているため、血液を冷やすことができます。
・飲み込む動作に問題がない場合は、水や野菜・果実ジュース等の液体を飲ませましょう。但し、アルコールやカフェインは控えるべきです。

熱中症は高熱症のうち、命を危険にさらすものです。これは身体が熱に負けて、体温を自ら調節できなくなった場合に起こります。ヒトの体温が極度(40℃以上)まで上昇して、精神面に症状が現れる(錯乱したり闘志を見せたりする)、鼓動が強く速くなる、発汗しなくなる、気が遠くなる、よろめく、或いは気絶する、といったことが起きた場合、熱中症であるといえます。これらの症状に一つでも当てはまる状態をみせる者(とりわけ高齢者)がいる場合は、直ちに医療関係者を呼びましょう。

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