糖尿病患者が気をつけたい足の合併症とは

足の疾患
糖尿病患者は足に様々な疾患をかかえる可能性があります。通常の疾患も悪化し得る上、深刻な合併症につながる恐れもあります。
足の疾患は神経に損傷があるときに最もよく起こり、これを神経症といいます。神経症は足の疼き、痛み(ひりひりした痛み、刺すような痛み)、脱力感などを引き起こします。また、足の感覚喪失の原因にもなりうるので、知らずして足を傷つけることがあるかもしれません。血流悪化や足の形状変化も足の疾患につながります。
神経症
神経症は痛いかもしれませんが、糖尿病による神経損傷は痛みや熱を感じにくくする可能性があります。感覚を喪失すると足の怪我を感じなくなり、靴の中に画びょうや石が入っていても、それを知らずに一日中歩き続ける、まめができても気づかない、なんてことが起こるかもしれません。皮膚が壊れ、感染症になってはじめて足の怪我に気づくかもしれないのです。
神経の損傷は足の形の変化につながりかねません。普通の靴を無理して履くのではなく、かかりつけの医療機関に行って、治療用の靴を履くことについて相談してみましょう。
皮膚の変化
糖尿病は足の皮膚を変化させることがあり、時々足が乾燥し皮がむけたりひびが入ったりするかもしれません。ここで問題なのは、足の油分と水分を調節する機能を神経が失ってしまっているということです。
風呂上りに足を乾かし、無香料のハンドクリームなどを薄く塗り延ばして保湿しましょう。
オイルやクリームを足の指の間に塗ってはいけません。余剰水分により感染症になってしまう可能性があります。また、保湿のしすぎは乾燥の原因となるので気をつけましょう。
まめ
まめは糖尿病患者の方が健康な人よりも早くかつ頻繁にできます。大きな圧力がかかるエリアが足にあるからです。あまりにもまめが多いなら、治療用の靴などを使う必要があるでしょう。
まめは手入れされていないと、どんどん分厚くなり、亀裂が入って、潰瘍(開放創)になってしまいます。潰瘍や感染症になる恐れがあるので、まめやうおのめは決して自分で切ってはいけません。専門の医療機関で処理してもらいましょう。また、皮膚を焼いてしまう恐れがあるので、化学物質を使って切ろうとしてはいけません。
毎日皮膚を湿らせた上で軽石使えばまめを管理できるでしょう。軽石の使用後はすぐにローションを塗りましょう。
足潰瘍
足潰瘍は母指球の上や親指の底面に最もよくできます。足の側面にできる足潰瘍はたいてい靴が自分に合っていないことが原因で起こります。たとえ痛みが無くても、直ちに医療機関を受診すべきです。足潰瘍を無視すると、指の切断につながる可能性のある感染症にかかるかもしれません。
医療機関の対応はそれぞれの足潰瘍によって異なります。X線写真を撮って足の骨まで感染していないかどうか調べるかもしれません。壊死した組織および感染した組織をすべて取り除くかもしれません。このために病院に通う必要があるかもしれません。また、あえて足潰瘍を進行させてどの種類の感染症なのか、どの抗生物質が最も効果的かを調べるかもしれません。
足を保護することはとても重要です。まめを踏み潰すように歩いていると、まめが巨大化する危険性や奥深くまで細菌が侵入する危険性があります。医療機関は足を保護するため、特別な靴や装具をつけるよう指示することがあるかもしれません。
もし足潰瘍がなかなか治らず血の巡りが悪ければ、医療機関が血管の手術を勧めることがあります。糖尿病の治療も重要で、血糖値が高いと感染症と戦うのが難しくなります。
足潰瘍が治った後も、足のケアに気を配ってください。傷跡は簡単に開きます。傷口周辺の保護と再発防止を目的に特別な靴を履くと良いでしょう。
血液の循環不良
血流が悪いと、感染症に対する抵抗力や治癒力が脆弱になる可能性があります。糖尿病にかかると、足全体の血管が狭まり硬化します。血液の循環不良の原因の一部は自分でコントロールすることができます。例えば禁煙です。喫煙は動脈硬化を促進してしまいまうからです。あとはかかりつけの医療機関のアドバイスに従って血圧と血中コレステロール値をコントロールしましょう。
足が冷えると、暖めたくなるかもしれませんが、足で熱を感じることができないと、熱湯や湯たんぽ、行火などで簡単に火傷してしまいます。こうした際の一番の対処法は暖かい靴下を履くことです。
早歩きのときや坂道を登るとき、あるいは硬い地面を歩いているときにふくらはぎに痛みを感じる症状を間欠性跛行といい、少し休むと痛みはおさまります。この症状がある人は禁煙し、かかりつけの医療機関でウォーキングプログラムを始めましょう。投薬によって血液の循環を向上させることもあります。
外科手術による切断
糖尿病患者は健康な人よりも足の切断手術を受ける可能性が圧倒的に高いです。多くの糖尿病患者は、足の血流を悪くする末梢動脈硬化症(PAD)や感覚を喪失させる神経症にもなっており、こうした病は足の切断手術につながる恐れのあるまめや感染症になりやすくします。切断事例の大半は日々のケアと自分に合った履物で防げたものなのです。
以上の理由から、自分の足をしっかりケアし、足に異常を感じたらすぐに医療機関にご相談ください。医療保険制度や他の保険が利く靴の処方箋について尋ねてみましょう。まめなどが足にあるときは、必ず医療機関の指示に従ってください。
足にとって最大の敵の一つは喫煙です。タバコは毛細血管に作用し、足の血流悪化や治癒力低下を招きます。現に、切断手術が必要になった糖尿病患者の多くは喫煙者です。