卵巣嚢胞の基礎知識~症状、治療~

症状

卵巣嚢胞とは?

卵巣嚢胞(らんそうのうほう)は、卵巣の中にできた液体で満たされた嚢(ふくろ)です。 卵巣嚢胞にはいくつかの種類がありますが、多くは排卵(卵巣からの卵の放出)の結果として生じる機能性嚢胞と呼ばれる「非がん性」の嚢胞です。

症状

卵巣嚢胞には、特に症状はありません。ときに、腹痛、膨満感、月経不順、吐き気、嘔吐(おうと)、少し食べた後の満腹感や便秘などを起こすことがあります。
更年期で閉経していたり、月経がない場合は嚢胞が形成されることはありませんが、ほかのタイプの卵巣嚢胞を形成する可能性はあります。
上記のような症状がみられたときは、医師に相談してください。

診断と検査

医師は触診中に嚢胞を感じることがあります。嚢胞の可能性がある場合、超音波検査や症状があるかどうかによって、以下の検査が必要になるでしょう。
・超音波検査
超音波検査は、卵巣や嚢胞の大きさをみるために超音波を使って体内の器官を撮影します。痛みはなく、腹部または腟(ちつ)を通して卵巣をみることができ、30分ほどで検査は終了します。
・血液検査
嚢胞が「がん性」であるかどうかをみるために、血液中のCA-125と呼ばれるタンパク質を調べます。  この検査では卵巣がんに罹患しているかどうかを正確に判断するわけではありません。正常なCA-125値は35未満ですが卵巣がん患者の中には正常なCA-125値を有することもあります。 また、卵巣がんでなくても出産年齢の女性ではCA-125値が高くなることがあります。 これらの理由から、CA-125の血液検査では、卵巣がんの徴候または症状を示すか、または卵巣がんのリスクを高める遺伝子変異を有する女性にのみ推奨されます。

治療

卵巣嚢胞は、約1〜3カ月で、時間の経過とともに自然に消失します。 嚢胞が小さくなったことを確認するために1〜3カ月後にもう一度検査します。
嚢胞が再発する場合は、「避妊薬」を服用して排卵しないようにします。 排卵していなない場合は嚢胞は形成されません。
治療法は、年齢、妊娠期間、嚢胞の大きさ、外観、症状などのいくつかの要因によって異なり、ときには軽度の症状と嚢胞が機能する期間があることがありますが、この場合は手術を受ける必要はありません。
超音波検査で卵巣嚢胞のようにみえない場合でも、嚢胞がいくつかの月経期間を経ても消えずに大きくなっていれば、手術で取り除くことがあります。
外科手術が必要な出産年齢の女性では、多くの異なるタイプの卵巣嚢胞がみられますが、 幸いにもほとんどが良性(非がん性)です。
もし閉経期を過ぎて卵巣嚢胞がみられるなら、手術で摘出することが勧められます。 50〜70歳の女性では 卵巣がんのリスクは高くなります。
また、早期に卵巣嚢胞と診断された女性は、後に診断された女性よりもはるかに予後が優れているという報告もあります。
嚢胞が小さく(梅の実くらい)、超音波検査で良性にみえる場合は「腹腔鏡(ふくうきょう)検査」を行います。 このタイプの手術は、腹腔鏡と呼ばれる細い望遠鏡のような照射付き器具を、腹の真上(へその下)に小さく切開して腹部に挿入します。 腹腔鏡検査では、 小さな切開で嚢胞を摘出することができます。
嚢胞が大きすぎて腹腔鏡で除去できない場合や疑わしい場合は「開腹手術」を行います。 開腹手術は全身麻酔下で、嚢胞または影響を受けた卵巣および卵管の全体を摘出します。
摘出された嚢胞はがん性かどうかを調べるために検査します。 がん性であれば、卵巣、子宮、大網膜といくつかのリンパ節を取り除く必要があります。 手術前に医師に相談することが重要です。 医師はまた、手術のリスク、入院期間や通常の活動に戻るまでの期間などについて話すことが義務づけられています。。

医師に質問すべき事項

超音波検査は必要ですか?
どのような卵巣嚢胞がありますか?
卵巣嚢胞が機能性嚢胞なら、どのような治療が必要ですか?
卵巣嚢胞が悪化しているかどうかはどうしたらわかりますか?
別のタイプの嚢胞がある場合の治療法は何ですか? また、手術が必要でしょうか?
将来、別の卵巣嚢胞の危険性がありますか?
更年期ですが、卵巣がんのリスクはありますか?

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