死別の悲しみを乗り越えるために知っておきたいこと

症状

死別による辛さ

愛する人を失ってしまった辛さは、計り知れないものがあります。死別カウンセラーのサラ・スミスさんは、誰かを亡くしたときに陥ってしまいがちな精神状態と、どこへ行けば精神的なサポートが受けられるかについて説明しています。

大切な人の死の受け止め方は、人それぞれです。何が正しくて何が間違った感情ということはありません。「一度にさまざまな感情が入り混じる人もいますし、気持ちが楽な日と落ち込みが激しい日が交互にやってくるような人もいます。」と、ロンドンにあるトリニティ・ホスピスで働くサラさんは話します。

強い感情が突然襲ってくることも少なくないと彼女は言います。「砂浜に押し寄せてくる波と似ています。水が膝下までで自力で立っていられるときもあれば、急に高い波が来て波に飲まれてしまうときもあります」

死別による感情の段階

専門家によると、死別による感情の段階には4段階あります。

・亡くなったことが現実であると受け入れる
・深い悲しみに直面する
・亡くなった人のいない生活に慣れようとする
・亡くなった悲しみにふける時間を減らし、新しいことに挑戦して前を向く

大切な人を失ったら、この全てのステージを経験するでしょう。しかし、必ずしも次の段階にスムーズに移れるとは限りません。感情が自分でコントロールできないほどに深く、激しい悲しみを経験するかもしれませんが、徐々に感情も激しくなくなってくるはずです。

感情の変化

以下のような感情がおさまるまでには、時間がかかります。

・ショックから放心状態となってしまい、何の感情も生まれなくなる
・非常に深い悲しみから、何度も号泣する
・極度の疲労状態
・亡くなった人、その原因となった病気、神への怒り
・怒りを覚えたことについての罪悪感、また、過去に言ってしまったことや死を防ぐために何もできなかったことに対する罪悪感

「これらは全て、正常な感情です」とサラさんは言います。「マイナスな感情は、決してその人を悪い人にはしません。怒りを覚えたことに罪悪感を覚える人が多いですが、怒りを覚えることは決して悪いことではありませんし、なぜ怒りを覚えたのかを自分自身に問いかけることも必要なことです」

忘れっぽくなったり、集中力がなくなってしまう人もいると彼女は言います。家の鍵など、物をなくしやすくなることもあります。これは、死別が原因の感情が邪魔をし、普通にできていたことが一時的にできなくなっているだけだといいます。正気を失ってしまったというわけではありません。

悲しみを乗り越えるために

誰かに話を聞いてもらうことで、気持ちが楽になるかもしれません。ひとりで抱え込まないでください。家族や友人に頼ることが、克服するために一番良い方法だとされています。

近くに相談できる人がいない場合は、死別カウンセラーを頼ってみるのもよいかもしれません。カウンセラーは、死別によって生まれた感情以外にも、人間関係、家族、仕事、今感じている不安、将来のことなど、幅広く、時間をかけて話を聞いてくれます。

死別カウンセラーを訪ねるのは、大切な人が亡くなってからかなり時間がたっていても大丈夫です。

亡くなった人について話す

亡くなった人について、勇気を出して周りと話してみましょう。周りの人は、あなたを傷つけないために、あえてその人に触れないようにするかもしれません。しかし、その人について周りと話せないばかりに、孤独に感じてしまうかもしれません。

誕生日や命日などは辛い気持ちになるかもしれません。サラさんは、どんなことでもいいからその日を乗り切るために自分で工夫することを勧めています。たとえば、その日は仕事を一日休んだり、その人との思い出を振り返られるようなことをするのがよいでしょう。

克服に助けが要るときは

死別による感情は人によって異なり、どのくらい続くかもわかりません。
「一般的には、一年半くらいが経つと、亡くなった人が頭から離れないという状態からは抜け出せると言われています」とサラさんは言います。この期間は人によってもっと短い場合もありますし、逆に長い場合もありますが、これは普通のことです。

克服に苦しんでいる場合は、医師や死別カウンセラーの助けを借りてもよいでしょう。以下のような場合、相談してみてください。

・朝ベッドから起き上がれない
・自分自身や家族をほったらかす(十分な食事を取らないなど)
・亡くなった人が居ないと何もできないと感じるとき
・感情が激しすぎて日常生活に影響をきたしている(仕事に行けない、ほかの人に怒りをぶつけてしまう、など)

これらの感情は、長続きしない限りは、誰にでも起こり得るものです。

サラさんは、以下のように話しています。
「助けを求めるまでの時間も人それぞれです。このような状態でいる期間が長いと感じたとき、もしくは家族が心配していると言ってきたときこそ、助けを求めるときです。」

余命が短い場合のカウンセリング

周りに不治の病の人がいたら、死別の心の準備をすることができます。
「一緒にお葬式について考えたり、遺書を作成したりすることができます。」
とサラさんは話します。

死別カウンセラーは、亡くなる前にもサポートをしてくれます。患者やその家族がどのように克服したらよいのかを考えるための手助けをしてくれます。これは、特に子供に重要です、とサラさんは説明します。「子供のストレスの度合いは、家族が亡くなる前に一番高くなるので、この間のサポートが非常に大切になってきます」

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