新規腎臓病患者へのさまざまなアドバイス

腎臓病とは
通常、腎臓病には症状があらわれないため、自分が腎臓病であったという診断はショッキングであるかも知れません。また病気が悪化し、最終的に透析をするかもしれないと心配している方もいらっしゃるでしょう。
実際のところ、ほとんどの場合その見通しはもっと安心できるものです。腎臓病は珍しい病気ではなく、さらに症状が安定しているため、悪化することは通常ほとんどありません。腎不全によって透析、あるいは移植が必要となったのは、患者の20人に1人未満です。
National Kidney Federation (NKF)のTim Statham氏は、「腎臓病が発覚したばかりの方は、パニックにならないようにしてください。腎機能が低下しても、必ずしも腎不全になるとは限りません。そこには年齢といった、至って普通の理由があるかもしれません。他の臓器と同様に、加齢によっても腎臓の機能は自然と衰えていくのです。」と、述べました。
また、British Kidney Patient AssociationのFiona Loud氏は、「自分に腎臓病があると知ることは、かなり精神的に厳しいことかもしれません。腎臓病が自分にどう影響するのかというアドバイスと、これからどういう風に腎臓を扱っていけばいいのかという指導を、主治医にしてもらうのも良いと思います。」と、付け加えた。
腎臓病の生活のヒント
腎臓病が悪化したり、日常生活に深刻な問題を及ぼすといったことはほとんど無いものの、それは将来の健康に対する警告ともいえます。なぜなら、たとえ軽度で安定しているとはいえ、腎臓病は自動的に患者を、平均よりも高い心臓病と発作のリスクにさらすからです。
もし腎臓病をわずらっているならば、生活習慣を改善し、心臓により一層注意することでその恩恵を受けることが出来るでしょう。
以下のことを実践してください:
・一切の余分な体重を減らし、定期的に運動してください(平均的な成人で毎週最低150分)。さらに自分が適正体重かどうか、BMIを使って調べましょう。
・禁煙しましょう。
・健康的で、バランスの良い食事をしてください。もし重度の腎臓病がある場合は、必要に応じて栄養士が特別なメニューのアドバイスをしてくれるでしょう。
・血圧を下げるために食事の塩分を減らし、食塩代用物などの使用も避けましょう。
・糖尿病や高血圧がある場合は、血圧や血糖値を正常な状態に保てるように、細心の注意を払ってください。
・水は、医者や栄養士にそうしないようにと注意されていない限り、飲みたいときに普通に飲んでください。腎臓病をわずらっているときに、余計な水や液体を飲むことでそれが改善されるという証拠はありません。
ワクチン接種と腎臓病
以下のものに対してワクチンを接種していることが大切です:
・インフルエンザ(毎年)
・肺炎
腎臓病はインフルエンザにかかるリスクを増加させます。また、インフルエンザになると気管支炎や肺炎などといった、より深刻な病気につながる恐れがあります。インフルエンザのワクチン接種は通常1回で事足りますが、人によっては5年ごとに追加接種する必要があります。
さらに腎不全の場合は、透析あるいは腎臓移植を開始する前に、B型肝炎の予防接種を受けている必要があります。
薬と腎臓病
腎臓病がある場合は、潜在的に有害である可能性があるため、薬局で売られている薬にも注意が必要です。
また、腎臓の問題は、高血圧や糖尿病によって悪化します。もしいずれかの状態にある場合は、おそらく医者から腎臓の損傷を防ぐための長期的に毎日飲むための錠剤を処方されるでしょう。
通常処方されるのはACE阻害剤と呼ばれる血圧降下錠剤で、腎臓を保護する効果がありますが、時折咳を引き起こすことがあります。 その場合、アンギオテンシン受容体遮断薬(ARB)と呼ばれる類似薬が用いられることもあります。
ACE阻害剤とARBのいずれも腎臓を保護するものですが、脱水状態にある場合問題を起こす可能性があるので、もし下痢や嘔吐などの症状がある場合は、医者または薬剤師に相談してください。
腎臓病は心血管疾患(心臓発作や脳卒中)を起こすリスクが高いため、医者がスタチンと呼ばれる、血液中のコレステロールのレベルを低下させ、心臓血管疾患のリスクを低下させる薬を処方することがあるかもしれません。
腎臓病をわずらっている場合、他の病気のために処方されている薬の量を、医者が変更することがあるかもしれません。 また、下痢、嘔吐、発熱などで不調になった場合、さらなる脱水や腎臓損傷のリスクを避けるために、一時的に薬の服用をやめるように勧められるかもしれません。
ただし、医者や薬剤師に確認することなく薬の服用を中止することは絶対にやめてください。体調が回復した後、再び薬を服用し始めることが大切です。
重度の腎臓病
時々、腎臓病の悪化を防げないことがあります。もしすでに病気が重度、もしくは末期である場合、治療計画を立ててくれる病院を拠点とした腎臓専門チームを主治医が紹介してくれるでしょう。
治療計画には特別な食事と、貧血予防のための鉄処理や、健康な骨や筋肉をつくるためのビタミンDサプリメントなどといった追加の薬を服用することが含まれるかもしれません。
医師、看護師、栄養士、社会福祉士、薬剤師がいる病院チームは、透析や腎臓移植の可能性がある場合に、その準備を手伝ってくれます。
より詳しい情報と腎臓病患者のためのサポート
ほとんどの病院に腎臓病患者が運営している地域腎臓患者支援機関がありますので、詳細は最寄りの腎臓病患者協議会に確認してください。