骨肉腫の基礎知識~症状、原因、治療~

骨肉腫とは?
骨肉腫(こつにくしゅ)は、子ども特に思春期に影響を及ぼす骨のがんの一種で悪性骨形成性腫瘍ともいわれます。 大腿骨(だいたいこつ)や脛骨(けいこつ)または上腕骨(じょうわんこつ)から始まり、からだのほかの部分、肺やほかの骨に転移することがあります。
症状
骨肉腫の目にみえる症状はありません。 腫瘍周囲の骨または関節の鈍い痛み、まれに痛みの領域にしっかりとした腫れや塊がみられます。 この腫脹は、骨の内部で増殖する腫瘍によって引き起こされます。
腫瘍が脚の骨にある場合は麻痺することがあり、骨肉腫を有するや脚の筋肉は、反対の腕または脚の筋肉よりも小さくみえることがあります。 ときには、腫瘍が骨を弱くするため、骨は腫瘍の領域で壊れることがあります。
原因
骨肉腫は、10~20歳の思春期および若年成人に多く発症します。女性よりも男性により顕著です。
骨肉腫は一般的ながんではありませんが、子どもや思春期の中ではよくみられる骨がんで、いまだはっきりとした原因はわかっていませんが、遺伝が関係しているかもしれないという報告もあります。 まれに、放射線治療の結果として骨肉腫が発症することがあります。
診断と検査
医師は、ひととおり健康状態や徴候、既往歴についての問診のほか、腫れ、しこり、破裂部位の周りを調べたうえで以下の検査を指示するでしょう。
【X線検査】医師が指示をする最初の画像検査です。 腫瘍があれば、X線画像に写し出されます。
【MRIとCT】核磁気共鳴画像(MRI)や、コンピュータ断層撮影(CT)、またはその両方を指示します。 MRIは腫瘍が骨のどこをを破壊したかどうか確認するのに役立ち、CTでは胸部と腹部で病気が広がっているかどうかを調べるのに便利です。 造影CTでは造影剤で器官または組織がより明確に写し出されます。
【生検】ほかの悪性(がん性)腫瘍およびいくつかの感染症は、X線などの画像検査で確認することができますが、 生検では骨から針や切開して採取した組織片を顕微鏡下で観察し、腫瘍が骨肉腫であるかどうかを調べることができます。
【その他の検査】腫瘍が肺やほかの臓器に転移しているかどうかを確認するために、ほかの検査を勧めることがあります。 骨スキャンは、腫瘍がほかの骨に転移しているかどうかを確認するのに役立ちます。
治療
骨肉腫は、化学療法(薬物療法)、外科手術、放射線療法の組み合わせで治療されます。 化学療法は腫瘍や転移した腫瘍細胞を殺す薬を使用して、手術前に腫瘍を殺したり、腫瘍を小さくするために行います。
腫瘍を除去するための手術は「患肢温存手術(かんしおんぞんしゅじゅつ)」と呼ばれ、腫瘍を成長した骨の領域とともに除去し、手足を切断しなくてもすみます。手術のために欠損した骨の部分には自分の骨を別の部分から取ってきて移植したり、腫瘍用に開発された人工関節を入れたりして再建し、リハビリテーション(理学療法)で関節は正常に機能します。
最悪の場合は、腫瘍を切除する最善の方法として患肢を切断することもあります。
治療後
手術後は、より多くの化学療法または放射線療法で治療します。 化学療法と放射線療法は、手術後に残っている体内の残りのがん細胞を殺すのに役立ちます。
骨肉腫患者の4人のうち3人は、がんがほかの部分に転移していない場合治癒(ちゆ)できます。患肢温存手術を受けた腕や脚は、手術後数カ月の理学療法(リハビリテーション)でうまく機能するようになります。
切断が必要な場合は、リハビリテーションは長く続けることがありますが、切断によって不自由になった生活を助けるために、現在多くの新しい「プロテーゼ治療」が利用可能です。プロテーゼ治療については医師に相談してください。
治療が終わっても、以下のことを行う必要があります。
骨がんの専門医の診察を数年間定期的に受ける
定期的に、肺、骨スキャン、X線およびCT検査で、腫瘍が再発・転移していないかを調べる
定期的に、再建した骨に異常がないかどうかをX線検査で確認する
医師に質問すべき事項
骨肉腫を一度経験すると、再発する可能性が高いですか?
子どもが骨肉腫といわれました。 どうすれば快適してあげることができますか?
手術で、足(腕)を失ってしまうのでしょうか?
足を引きずって歩いていますが、腫れはありません。 骨肉腫の検査を受けるべきですか?
骨肉腫の治療が終わった後、次の診察はどのくらいの頻度で受診すればいいのでしょうか?
40代ですが、足に腫れがあります。 骨肉腫かもしれませんか?
手術後どのくらいの期間、リハビリテーションする必要がありますか?