トランスジェンダーの娘~経験談~

症状

トランスジェンダーの娘

シャロンは10代のトランスジェンダーの娘がいる。ニッキーがどのように男性の身体に生まれ、かなり若い年齢から女性であるべきだったと感じるようになったか、彼女が説明する。

”ニッキーが2歳だった頃、ニッキーが男の子向けのおもちゃで遊んでいないことに気づきました。ニッキーは人形や女の子向けのおしゃれな服に興味があったのです。”
”当時の年齢だと、問題はそんなに深刻でありませんでした。ただ子供たちは多くの違うことを経験しているのだと思うだけでした、だからそのことについて騒ぎたてるようなことはなかったのです。”

”しかし彼が4歳のとき、神様が間違いを犯したのだと、彼は女の子であるべきだったと私に言ったのです。私は医師にどうすべきか聞きました。医師は待って見ること、ただ今そういう時期なだけで過ぎ去るだろうと言いました。しかし過ぎ去ることはなかった。むしろ強くなりました。”

”ある日、ニックが6歳のとき、車内で彼はいつペニスを切除し女性器をつける手術を受けられるのか私に聞きました。彼の年上のいとこがこれらのことを教えたのです。”

”精神病医の友人に相談しました。彼はタヴィストックにあるクリニック(今は Gender Identity Development Service (GIDS)、性同一性に関する問題を抱えた子供や若者向け)に連絡を取ったほうがいいといいました。”

”また彼は医学用語は’性別違和’であると言いました。ネットで調べてみると、Mermaidsという性同一性に関する問題を抱えた子供やその家族を支援する慈善団体を見つけました。”

”地域の精神保健ユニットを勧めてくれた医師にもまた相談しました。ユニットで働いている人はタヴィストックで働いていたことがあって、性同一性問題について知っていたのです。”

”彼は素晴らしかった。起こっていることについて理解してくれる誰かに相談できるのはとても安心できました。自分自身を責めていましたが、私の責任でないと自信を持たせてくれました。そこで私たちはタヴィストックのクリニックを勧められたのです。

”タヴィストックのチームはニックの学校に来て、教師に話をしました。彼らはニックは気難しいのでなく、その問題が一時的なものではないだろうと教師が理解するのを手伝ってくれました。これほど子供が若いと、ただわからないのです。”

ニックからニッキーへ

”ニッキーはいつも本当に女の子になりたがっていました。彼女が10歳のとき、家では名前をニックからニッキーへと女の子らしいものにしました。翌年ニッキーは中等学校を女の子として始めたのです。”

”学校はとても支援的でした。でも彼女の仲間集団と一緒の学校にあがったので、皆がしっていました。”
”最初の週は、彼女は’トランジスターラジオ’だとか’人獣’だとか呼ばれました。唾を吐かれ、廊下で攻撃されました。学校の最初の6ヶ月で四回過量服用しました。”
”そこで私たちは彼女を学校から離しましたが、数ヵ月後に彼女は戻ると決断しました。毎年、いじめと孤独は悪化し、ニッキーは自傷行為を始めるようになりました。9年生の最初に、彼女を別の中等学校に移しました。しかし不幸なことにそこの生徒たちは知ってしまったのです。”
”当時、私は彼女を学校から完全に離しました。そして教育福祉オフィスが専門家総合教育センター(Specialist Inclusive Learning Centre)での場所を見つけてくれたのです。そこは様々な健康の理由から主流の学校教育についていけない子供たちのためのユニットでした。”

思春期を経験する

”ニッキーの思春期が始まった頃、オランダで行われている、身体的な大きな問題が起きる前に思春期を防ぐ治療を受けさせたいと思いました。”
”もし彼女が女性でいるという考えを変えるつもりなら、それまでに変えているだろうと思いました。タヴィストックのクリニックは彼女にホルモン遮断薬を与えませんでした。”

タヴィストックとポートマンはイギリスのガイドラインに準拠しており、それは当時ホルモン遮断薬を思春期の後半まで使用することを許していませんでした。2011年1月からホルモン治療が受けられる年齢が16歳から12歳、もし子供が思春期に到達しているならより若い年齢、に低められました。

”最終的に私たちはアメリカの医師のところまで行きました。その医師はWPATHネットワーク(性同一に関する健康問題のための世界的な専門家協会)で見つけました。ニックは13歳でホルモン遮断薬をのみ始めました。そうすることで男性としての思春期を遅らせ、考える時間を設けたのです。”
”もし遮断薬を投与されていなかったら、男性の思春期を経験することで心理的な苦しみに悩まされたでしょう。自殺していたかもしれないと言っていました。最近では、彼女が男性として生まれたなんて思わないのです。”

”どんな時点でも、ニッキーがそれが彼女にとって正しいことなのかわからないと私に言ったら、注射を中断し男性としての思春期を進めるつもりでした。ニッキーにとって次のステップはホルモン治療を開始し、できるだけ早く手術を行うことでした。”

”中等学校の最初の数年間は、ニッキーの人生に常に恐れを抱いていました。彼女がこのようなことを経験しているのを見るのは大変な苦痛でした。”
”今では、何倍もよくなっています。彼女は典型的な10代の女の子で、それは祝福されたことです。散らかしたままにするし、私の服や化粧品、香水を借ります。彼女がここまでの段階に達するとは思っていませんでした。彼女にはまだ沢山の障害が待ち受けていると思いますが、大人に向けて楽しみにしています。”

*記事の名前は変えられています。

さらなる情報

この話はある母親の経験を反映したものです。性同一の問題は複雑でそれぞれのケースが違うので、シャーロンのケースが典型的というわけではありません。

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