酒さ性皮膚炎の基礎知識~治療法~

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酒さ性皮膚炎の治療

酒さ性皮膚炎は治癒することができないものではありますが、治療を行うことは症状をコントロールし続けることに役立ちます。症状が回復し、一時的に治療を止めることができる時期があったとしても、長期的な治療が通常は必要です。
治療法の選択肢は最も問題となっている症状によりますが、通常はセルフケアと治療の両方を行います。その概要は以下に示しています。
酒さ性皮膚炎の治療法について、良い点と悪い点についての概要もありますので、治療の選択肢を比較してみることができます。

セルフケアの方法

酒さ性皮膚炎の症状を管理できる状態にするためのセルフケアは数多くありますが、例えば以下のようなものです。
症状が出る引き金となるものを避ける - 例えば、直射日光が症状を悪化させるようであれば、身体を覆う服を着て、日焼け止めを塗るなど
肌のお手入れを行う - 例えば、敏感肌用の化粧品を使う、など
メークアップする - 赤くなった肌の部分は、カモフラージュ・メークアップなどを使ってカバーをすることができる
瞼を清潔に保つ - 酒さが瞼に炎症を起こしている場合(眼瞼炎)

丘疹と膿疱の治療

酒さ性皮膚炎によって、赤く丸い腫れ物(丘疹)が肌からできていたり、膿が詰まった腫れ物(膿疱)があるようであれば、有効な利用法がいくつかあります。
肌に塗る局所的治療法と経口薬を服用する方法にわかれます。

局所的治療法
局所的治療法は最初に処方されるものであることが多いです。以下のようなものが処方されます。
メトロニダゾール・クリーム(ジェル)
アゼライン酸クリーム(ジェル)
イベルメクチン・クリーム
イベルメクチンは比較的新しい薬です。有効性が高く、メトロニダゾールよりも肌への刺激が少ないという研究結果がありますが、他の薬が効かなかった場合に勧められるもののようで、英国の国保サービスではカバーされない薬です。
(翻訳者注:日本ではどうなのかわかりません。)
1日に患部に薬を塗らなければならないことが多いようですが、決して目や口に入らないように気をつけてください。症状の改善をみることができるまでに、7-8週間かかります。
こうした治療の副作用は、皮膚への焼けるような刺激や痛み、かゆみ、乾燥肌になる等があります。

経口用抗生物質
症状がさらに深刻な場合、経口用抗生物質の治療が勧められることがあり、これは肌の炎症を減らすことに役立ちます。
酒さ性皮膚炎を治療するために使われる抗生物質は、テトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、ドキシサイクリン、エリスロマイシンなどです。
こうした抗生物質を、4-6週間の間服用しますが、赤みが非常に頑固な場合はさらに長い期間服用することもあります。
例えば、経口用抗生物質が長期必要となった場合は、低用量ドキシサイクリンカプセルの使用が可能です。
こうした抗生物質によく起こる副作用には次のようなものがあります。
気分が悪くなる
消化不良と膨満感
腹痛
食欲減退

使われる薬によっては、太陽光やサンベッドなどの人工光源に敏感になることがあります。
局所治療に関して言えば、1日1回ないし2回使用する必要があり、数週間の間、症状に目に見る改善がないことがほとんどです。

経口用イソトレチノイン
イソトレチノインは、にきびがひどい時の治療として使うものですが、低用量のものを場合によっては酒さ性皮膚炎の治療に使うこともあります。
イソトレチノインは副作用を起こすことがある、強い薬剤で、皮膚科医などの専門医のみが処方するものです。
イソトレチノインの副作用には次のようなものがあります。
肌、唇、小鼻の乾燥やひび割れ
瞼の炎症(眼瞼炎)もしくは目の炎症(結膜炎)
頭痛
筋肉痛、関節痛
腰痛
血尿
感情の起伏が激しい
イソトレチノインは妊娠中に服用すると、出生異常の原因となることがあります。

顔の赤みの治療

酒さ性皮膚炎によって引き起こされた顔の赤みと顔面紅潮は、丘疹と膿疱の治療よりも難しいことが多いです。
しかし、上記で説明したセルフケアと同様に、治療法もあります。

ブリモニジン酒石酸塩
ブリモニジン酒石酸塩は、酒さ性皮膚炎が原因で起きた顔面紅潮のための比較的新しい治療法です。1日1回、顔にジェル状の薬を塗る治療法です。
顔の血管が拡張することを抑える作用があります。研究では、塗布後30分で効果が出始め、12時間程度効果が続くことが示されています。
ブリモニジン酒石酸塩の副作用には、ジェルを塗った部分のかゆみや焼けるような感覚があります。
時々、次のような症状が副作用として現れることがあります。
ドライマウス
頭痛
チクチク感
ドライスキン
この治療法では、顔面紅潮が以前よりもひどくなった、というリバウンド効果があったことが報告されています。

経口治療法
別の選択肢として、酒さ性皮膚炎によって起きた赤みを改善することに役立つ経口用薬剤が以下のようにあります。
クロ二ダイン - 血管を緩ませる薬剤
β[ベータ]遮断薬 - 心臓の活動を抑える薬剤
不安症の薬 - 人を落ち着かせるために使われることもある薬で、紅潮を減らす

こうした薬剤が、酒さ性皮膚炎によって引き起こされた紅潮の治療にどれだけ有効性があるのかについてははっきりしていません。しかし、皮膚科医により処方されることがあります。

レーザーと超短パルス光(IPL)治療法

肌の赤みと血管がはっきり見える症状(毛細血管拡張症)は、血管レーザーもしくは超短パルス光(IPL)治療法で改善することができることがあります。こうした治療は、紅潮を改善する可能性もあります。

こうした治療は皮膚科医のもとで行われるものです。2-4回治療を行わなければならないため、全体での費用が大きくかかる場合もあります。
レーザーもしくは超短パルス光(IPL)治療法では、目に見える皮膚内の血管に向けてレーザービームを当てます。レーザーからでた熱により、拡張した血管にダメージを与え、収縮させるため、肌から見えなくなります。治療した肌の周辺にはわずかな傷やダメージが残るだけです。
レーザー治療法は痛みを伴いますが、ほとんどの人には麻酔は必要ありません。レーザー治療法による副作用は通常軽微なもので、以下のようなものです。

肌がかさぶたになる
肌の腫れや赤み
稀なケースではあるが、水膨れ
稀なケースではあるが、感染症

こうした副作用は通常数日で収まり、永久的に残ることはまずありません。

肥厚した皮膚の治療

酒さ性皮膚炎の患者の中には、鼻の皮膚が厚くなる人がいます。これは鼻瘤として知られています。

酷い鼻瘤がある場合、皮膚科もしくは整形外科で厚くなった皮膚の見かけをどうすれば改善するのかについて医師が検討します。
余分な細胞を取り除き、鼻の形を良くするよう、外科治療を行うことができます。
これはレーザー、外科用メス、特別な研磨器具で行うことができ、皮膚剥離術を使って行われます。

目型酒さ性皮膚炎の治療

もし、酒さ性皮膚炎が目に影響を与えてしまったら(目型酒さ性皮膚炎)、治療を行う必要があります。
例えば、ドライアイがある場合は潤滑目薬もしくは軟膏を、眼瞼炎がある場合は経口用抗生物質を服用する必要があります。
最初に行った治療が効果がなかった場合、もしくは目型酒さ性皮膚炎の症状がひどくなった場合は、眼科医への紹介を受けて、さらに検査・治療を受ける必要があります。

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