高齢者の目の健康について知っておきたいこと

視力について
視力は年を重ねるにつれて変化します。65歳くらいまでのうちに、ほとんどの人が眼鏡やコンタクトレンズの使用が必要になります。
定期的に視力検査を受けている場合、度数の合ったレンズを使用し、目の健康を気遣ってください。このように心がけることで、視力が衰えることを予防することができます。
定期的に視力検査を受けましょう
視力検査の目的は、度数の合った眼鏡を使用しているかを確認するためだけではありません。目の健康を維持する上で大切な検査です。視力検査から、緑内障や白内障といった目の病気を発見することができますし、糖尿病や高血圧などの一般的な疾患を発見することもできます。
しかし、多くの高齢者は定期的な視力検査を受けていないといいます。検査を受け、視力に合った眼鏡をかけると、バランス感覚や体の動きが良くなるだけでなく、目を健康に保つのを助けてくれます。
度数の合ったものを使う
視力検査をすると、眼鏡やコンタクトレンズの度数を新しくした方がよいかどうかが分かります。
眼科で処方された度数のレンズを使用することが大切です。こうすることで、生活の質も高まりますし、転倒などの事故も防ぎます。
目を健康に保つために
定期的な視力検査や正しい眼鏡をかけること意外にも、以下に気をつけて、できるだけ目を健康に保つようにしましょう。
・よく食べる
健康的でバランスのとれた食事をすることは、目の健康を保つためにも重要です。野菜やくだものをたくさん食べることで、全体的な体の健康維持にもなりますし、白内障や加齢性黄斑変性症(AMD、下記参照)の予防にもなります。
・サングラスをかける
強い太陽光は目を傷め、白内障のリスクを増大させます。サングラスをかけるか、UVカットのコンタクトレンズを装着して、太陽光から目を守ってください。
・タバコをやめる
喫煙は、白内障や加齢性黄斑変性症のリスクを増大させます。
・健康な体重を維持する
体重が増えすぎると、糖尿病のリスクが高まります。糖尿病が原因で視力を失ってしまう場合もあります。
・適切な照明を使う
60歳の人がよく見えるようにするには、20歳の頃と比較すると三倍近くの光量が必要になります。窓をきれいにしてカーテンを開け、なるべく部屋に自然光が入るようにしましょう。とくに、段差が良く見えるように階段に適切な照明があるかどうか確かめましょう。読書などの細かい作業をする場合、電気スタンドを適切に使用してください。このとき、手元が反射してまぶしくならないように注意してください。
・運動をする
代謝を良くし、酸素を体に取り込むことは、目の健康にとって重要です。一般的な運動であれば、どんなものでもこの二つの要素を含んでいます。
・よく寝る
寝ている間、目は常に潤っていて、日中に入り込んでしまった埃や煙などを取り除く働きをします。
高齢者の目の問題
年を重ねると、以下のような問題が起きやすくなります。
・文字を読むのが難しい
目の筋肉は45歳から弱くなり始めます。これは目の自然な老化過程で、全ての人に起こります。60歳になる頃には、普段の眼鏡とは別の老眼鏡や、普段の眼鏡に別のレンズを足す(二重焦点レンズやバリフォーカルレンズ)必要があるでしょう。
・飛蚊症
視界に小さな斑点が浮かぶ場合、通常は無害です。もしそれらが続くようなら、病気の徴候かもしれないので、眼科へ行ってください。
・白内障
これは、目の検査で簡単にわかります。白内障は、視界が徐々に曇っていく疾患で、60歳以上には非常に一般的です。簡単な手術で視力を回復させることができます。
・緑内障
これは、目と脳が接続する視神経の損傷につながる眼圧の上昇が原因となって起きる疾患です。治療せずに放置すると、視野狭窄になり、最終的には失明の恐れがあります。しかし、早期に発見できれば、通常は点眼薬で治療することができます。
・黄斑変性症
これは、老化によって引き起こされる網膜の疾患です。網膜とは、目の裏側にある神経組織です。黄斑変性には2つのタイプがあります。一つは、乾燥黄斑変性と呼ばれていて、非常にゆっくりと悪化します。もう一つは、非常に迅速に悪化します。この場合、急を要するため、直ちに病院の眼科で治療を受ける必要があります。