「ケルビズムと私」〜ビクトリアの経験談〜

その他

ビクトリアの場合

ケルビズムは稀な遺伝性疾患で、顔面で繊維組織が過剰成長します。ビクトリア・ライトはケルビズムを持って生まれました。
とても大きい顎から、あだ名は、ディズニーのキャラクターにちなんだ「バズライトイヤー」、学校では、女子から「殴って、眼を元の場所に戻してあげる」と凄まれました。
しかし、ビクトリアは過ごした困難な年月にもかかわらず、顔の変形とともに生きることについて、ユーモアを交えて魅力的に話します。自分自身への信頼は明らかです。
「ある女の子は、自分の絵を描いてクラスで他の子に回していました」
しかし、苦しみは、自分の力で立ち上がるように決意させます。 「自分が誰なのか、人生をどのように生きたいのか、について強く考えます。家に引きこもりたくないし、外出や他人を恐れたくないんです。他人にどう見えるかは、、自分の問題ではなく、その人の問題だから」と、ビクトリアは語ります。

最初の兆候

ビクトリアは、ケルビムの兆候が現れたとき、まだ4歳でした。 「お母さんが歯を磨いていてくれたんだけど、歯の位置がヘンだって気づいたみたいで」
ケルビズムは、ルネッサンス芸術に出てくる、赤ちゃんのような丸々とした頬を持つ天使にちなんで名付けられた症状で、ビクトリアよりもずっと症状は穏やかですが、家系のなかに遺伝で発症した人がいます。

ビクトリアの状態は、思春期後には元に戻ると考えられていましたが、そうはならず、逆に顎がより大きくなり、目に影響が出始めました。
目に対する圧力を和らげるために手術を受け、視力は助かったものの、低下した視力から来る頭痛に悩まされています。
「ケルビズムは苦痛のない病気ではありません。捻れるような頭痛ですごくつらいです。ボーリングボールくらい重いですよ。顎の手術をすれば、小さくすることができると言われたけど、容姿が改善することはないことはわかってます。もう、自分の見た目には慣れました。」
ビクトリアは、顎の大きさは小さくならないという思い込みから美容整形に反対していると、メディアで報道されています。しかし、美容整形に反対なのではありません。「手術を受ける人に反対はしません。ただ、自分の見た目に問題は感じません。それなのに、他人の目のために手術を受けろというんですか?毎日、この顔と暮らしてるし、文句もありません。そりゃ、女性ですから、自分の見た目に完全に満足していないのは他の女性と同じです。でも、他人が満足するからという理由で、自分自身を変えるつもりはありません」

心をかき乱す他人の視線

ビクトリアは、それが人間のごく自然な反応であることを理解していますが、他人の凝視には慣れていません。「個人の性質ということではなく、みんな凝視します。自分も他人を凝視します。ティーンエイジャーの頃は憤っていましたが、怒っても何の役にも立ちません。外見が醜い人は怒ったり、悲観的だったり、怖いという固定観念を強くするだけです。
攻撃的というか粗暴な視線を浴びているのがわかると、凄く苦しくなります。でも、感情に支配されませんよ。自分は誰なのかちゃんとわかってますから。好奇心からの視線には、ただ笑いながら、自分もただの人間で、怖いことなんてなにもないことをうなづいて示します。ほとんどの場合、笑顔を返してくれますよ。良い気分になります。小さくても意思が通じるつながりを持てたからです。」
ビクトリアが、家族、友人、教師、慈善団体Changing Facesから人生を通して受けたサポートはとても大きいものでした。
Changing Facesは、顔に変形を持つ若者のために、質問を受けたり、アドバイスを提供したり、個人的な話をシェアするためのウェブサイトを立ち上げました。
「Changing Facesには素晴らしいロールモデルがあります」とビクトリアは言います。「顔の変形を持つあらゆる年代のスタッフがたくさんいるんです。10代の頃、スタッフと会って、変形のキャリアを持っているのに、なんて幸せそうでイキイキしてるんだろうって感じました。時には孤独を感じることがあります。特に稀な症状がある場合はもっと孤独でしょう。同じような人と出会えなければ、対処は難しいです。だから、仲間のサポートがあることはとても大事なんです。」

変化する知覚

ビクトリアは定時制の学校で法律を勉強しています。差別を受けている人のための弁護士になるつもりです。
「50年前は、醜い人にとって、世界は今より遥かに生きるのが難しい場所でした。でも、今は、成功したキャリアを持つ不自由な人たちがいます。もう隠れなくていいんです」
イギリスの障害者差別措置法による法的保護、そして、人権意識を向上させるキャンペーンは、人々の認識を変えています。
さらにビクトリアは言います。「サポートが必要だと感じている人は、誰でも、Changing Facesに来てください。普通じゃない外見だと、人生が困難に感じるのはわかります。でも、勇気を出して、一歩を踏み出さないと。凝視する人のことを話します。凝視しないたくさんの人がいます。そんな人は、あるがままのあなたが好きで、あるがままのあなたを尊重してくれますよ。」

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