貧血についての基礎知識〜症状、原因〜

症状

貧血とは?

貧血は赤血球が減少する状態です。 赤血球の中にあるタンパク質であるヘモグロビンは、血中で酸素と結合し、肺から体内に酸素を運びます。体はヘモグロビンを作るために鉄を必要とします。
貧血の最大の原因は、体が十分な鉄分を持たないため、ヘモグロビンを作ることができない場合です。 これは鉄欠乏性貧血と呼ばれています。
別のよくあるタイプの貧血は、赤血球が少ないときで、これは正球性貧血と呼ばれています。

貧血の症状は?

無症状(多くの場合)
顔面蒼白
疲労感
運動中の過度な息切れ
極端な大食症(異食症(pica))
速い脈拍
冷たい手足
もろい爪または脱毛
頭痛
めまいや立ちくらみ

鉄分が欠乏する原因は?

体内の鉄が欠乏する(鉄分濃度が低くなる)のには多くの原因があります。
鉄分が多い食べ物を十分に食べていないと、鉄分濃度が低くなることがあります。主に子どもや、見た目の良い食事を好む若い女性、肉を食べない人などに見られです。
食物にふくまれる鉄は小腸から体に吸収されます。 例えばクローン病(小腸や大腸に潰瘍を引き起こす)やセリアック病(小麦などに含まれるグルテンに異常反応を起こす)の人は、体内の鉄分濃度を低下させることがあります。 ミルク、制酸剤、胃酸を低下させる薬も、体が鉄分を吸収するのをさまたげることがあります。
3歳未満の子供は成長速度が早いため、必要な鉄の量を吸収できないことがあります。
生後1年の間に牛乳を飲む乳児は鉄欠乏性貧血のリスクがあります。 牛乳には、幼児が成長して発達するのに十分な鉄分がありません。 また、鉄分が少ない食事をしているか、鉄分欠乏状態にあった幼児(12〜24カ月齢)も鉄欠乏性貧血の危険性があります。
妊婦や授乳中の女性は、妊娠していない女性よりも鉄分が必要です。 妊婦は何度も貧血検査を受け、鉄分が豊富な食品を食べたり、毎日の鉄剤を摂取したりする必要があります。妊娠しているとき、体は妊娠していないときよりも30%も多い血液を作ります。 体内に十分な鉄がない場合、この多くの血液を作るために必要な赤血球を作ることができません。鉄欠乏性貧血を発症するリスクがあります。
月経時の失血は、女性の鉄分濃度を低下させることがあります。 消化管内の内部出血も失血の原因となります。 胃潰瘍、潰瘍性大腸炎、がん、アスピリンなどを長期間服用すると、胃や腸で出血することがあります。
鎌状赤血球症(遺伝性の貧血病)やサラセミア(ヘモグロビンを構成するグロビン遺伝子の異常による貧血)を患っている場合、体は健康な赤血球を産生することができなくなり、貧血につながる可能性があります。 また、胎児に遺伝する危険があります。 家族がこれらの病気のいずれかを持っている場合(遺伝的疾患)や以下がある場合、妊娠中の貧血予防と治療について医師に相談してください。
つわりによる大量の嘔吐
鉄分が豊富な食べ物が足りない
妊娠前に大量の月経がある
短期間に2回の妊娠を経験した
双子、三つ子、あるいはそれ以上妊娠した
十代で妊娠した
大量出血をした(ケガや手術中の出血など)

正球性貧血の原因は?

正球性貧血は、先天性のものと、感染または病気によって引き起こされる後天性のものがあります。
正球性貧血の最も一般的な原因は慢性疾患です。 慢性疾患には、腎臓病、がん、慢性関節リウマチおよび甲状腺炎が含まれます。

貧血はどのように診断されますか?

貧血があると思われる場合は、医師に相談してください。 貧血を診断するには、血液検査を行い、 貧血の場合は、ほかの検査を行う必要があります。
正球性貧血は、定期検査によって最もみつかります。 正球性貧血であれば全血球計算(CBC)でわかります。CBCで正常な大きさの赤血球数が低下を示している場合は、貧血の原因を調べるためにさらに検査を受けます。 遺伝性の場合、家族も検査する必要があります。

子供は鉄欠乏症の検査を受けるべきですか?

子供が鉄欠乏性貧血を抱えている可能性がある場合は、医師に相談してください。 鉄欠乏の危険がある乳児は、月齢9〜12ヵ月に血液検査で調べる必要があります。 通常6ヵ月と24ヵ月で検査すべきです。

妊娠している場合、貧血検査を受けるべきですか?

最初の出生前受診で、貧血をチェックするための血液検査を受けます。 早期検査で貧血がなくても、医師は妊娠第2期または第3期に再び検査します。

貧血は予防できますか?

食事によって引き起こされるものは防ぐことができます。 鉄分の量を増やすことで、このタイプの貧血を防ぐことができます。

食生活で鉄分を増やすことができますか?

食品では 肉が鉄を最もよく吸収します。 少量の肉を鉄分を含む野菜とともに食べることで、さらに鉄を得ることができます。 ビタミンC錠剤や、柑橘類やジュースなどビタミンCが多い食品と、鉄分をいっしょにとると、体が鉄を吸収しやすくなります。
コーヒー、紅茶、卵、牛乳、繊維、大豆タンパク質などは、鉄分の吸収をさまたげます。 鉄分が多い食品を食べているときは、これらの食品を避けるようにしてください。

妊娠中に鉄欠乏性貧血を予防するには?

妊娠中の貧血を完全に防ぐことはできませんが、鉄分の豊富な食品を食べることが助けになります。医師は妊婦が毎日少なくとも27mgの鉄分を食べることをすすめています。 また、妊婦が毎日鉄30mgを含むサプリメントを服用することを推奨しています。
制酸薬やカルシウムを含むいくつかの医薬品が鉄吸収を阻害します。 鉄分濃度を上げようとしている場合、どの薬を避けるべきかについて医師に相談してください。

子供の鉄欠乏性貧血はどうやって予防するのですか?

鉄を強化したフォーミュラ(必須栄養調合食品)を使用する場合は、子供にビタミンと鉄を同時に与えないでください。 この組み合わせは鉄が多すぎて健康的ではありません。 乳児が月齢12ヵ月になる前に母乳育児を中止する場合は、鉄分を強化したフォーミュラを使用してください。
乳児が月齢12ヵ月後に、母乳や鉄分強化のフォーミュラを中止した場合、肉、鶏肉、魚や全粒粉、栄養強化のパンとシリアル、濃緑色の野菜、豆を与えてください。ビタミンCは体が鉄を吸収するのを助けます。 牛乳は1日700mlを超えないようにします 。ヨーグルトとチーズもよいです。
ビタミンと鉄分の与え方については医師に相談してください。

貧血はどのように治療されますか?

貧血の治療はその原因によって異なります。 例えば、血をあまりにも多く失なって貧血が生じた場合、医師は失血の原因を治療する必要があります。 食事中の鉄分濃度が低すぎることが原因の場合、医師は食事の変更や鉄剤をすすめます。

正球性貧血はどのように治療されていますか?

貧血の原因を管理することは、治療する上で最も重要です。 これには、特定の薬の服用を中止するか、医師が慢性疾患を治療するか、血球を失う原因を調べる必要があります。
正球性貧血が非常に悪い場合は、エリスロポエチンの注射を受ける可能性があります。 エリスロポイエチンは、骨髄がより多くの赤血球を作るのを助けます。

子どもの貧血はどのように治療されますか?

母乳育児の場合は、月齢4〜6カ月の子供の食事に、鉄分補給穀物(シリアル)や鉄分補給ビタミンなどを加えることを医師に相談してください。

子どもの鉄欠乏性貧血が引き起こす問題は何ですか?

鉄欠乏性貧血は、疲れやすく内向的になりやすいため、精神的または運動の問題を引き起こす可能性があります。 治療によって貧血が治った後も長期間続くことがあります。

妊娠中の貧血はどのような問題を引き起こしますか?

貧血が治療されていないと、早産、または低体重状態で生まれるリスクが高くなります。 貧血は、母親の産後うつ病と関連している可能性があり、  まれに、重度の鉄欠乏性貧血を有する母親から、乳児に引き継がれることがあります。これは成長上の問題や精神の成長の遅れにつながります。

鉄剤は何か問題を引き起こしますか?

鉄剤は、胃のもたれ、胸やけ、便秘を引き起こす可能性があります。 補助の鉄剤やビタミンをとる前に必ず医師に相談をしてください。 処方された鉄サプリメントで違和感を感じたら必ず医師に伝えてください。

医師に相談するための質問

貧血があるかどうかはどうすればわかりますか? それはどれくらい危険な症状ですか?
妊娠しました。 貧血検査を受けるべきですか?
貧血はどのように治療されますか?
以前貧血がありました。 どうすれば再発を防ぐことができますか?
鉄分のサプリメントを摂取すべきですか?
鉄剤はあらゆる種類の貧血を治療しますか?
子どもに貧血が引き継がれることはありますか?
これからもずっと貧血が続きますか?

鉄剤をとるヒント

食べ物と一緒に鉄剤をとってください。
1日1錠を3〜5日間服用してから、結果を確認したうえで、1日2錠に増量してください。 医師の処方量になるま徐々に増やしていってください。
便秘がある場合は、繊維質を増やしてください。 繊維により鉄を吸収でき、鉄を全く摂っていないよりも効果的です。
胃もたれを引き起こす場合は、就寝直前に服用しないでください。
鉄剤が問題を引き起こす場合は、医師に相談してください。

警告

すべての鉄を含む食品を子どもの手の届かないところに保管しておいてください。子どもが多量にとると有毒になる可能性があります。

鉄が多い食品

レバー
赤身肉
シーフード
アプリコット、プルーン、レーズンなどのドライフルーツ
ナッツ
豆、特に枝豆
ホウレンソウやブロッコリーなどの緑色の葉野菜
廃糖蜜(はいとうみつ、サトウキビなどから砂糖が精製された後に残る養分を含む糖分)
全粒粉
鉄分を強化したパンやシリアル食品

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