虐待から子供を守るために知っておきたいこと

虐待について
あなたのお子さんが大人の手によって被害を受ける可能性は非常に低いです。ですが、それでも子供を守るために有効な手段がいくつかあります。
子供を虐待する人は、あらゆる社会的地位、年齢、階層、あるいは職業に見られます。加害者が女性であることもあります。
児童虐待の被害者にとって、その加害者が知っている人物である、というケースは多く見られます。虐待の加害者は家族の構成員であったり、友達であったり、コーチや教師などの本人が信頼している誰かであったりもします。
子供を虐待した後、その加害者は子供に対し、事態を秘密にしておくよう言いつけたり、あるいは脅迫まで行ったりすることがあります。
もしあなたが虐待を受けている子供を見かけた場合、行動を起こしましょう。児童相談所全国共通ダイヤルなど、専門・支援機関に電話をかけ、懸念する事項について相談をしてください。
もしあなたのお子さん、あるいはあなたの知っている子供が虐待にあっている場合は、すぐに警察に通報してください。
またその他の保健機関や社会福祉サービス等に相談して、児童虐待に関する助言を受けることもできます。
どのようにして児童虐待が発生するのか
児童虐待の加害者が、虐待の前に子供を「グルーミング(手なずけ)」しておくケースもしばしばあります。グルーミングとは、加害者の行動を表す用語で、例えば子供のためにプレゼントを買ってあげたり、何度も子供に外に連れて行ってあげることで、本人の信頼を得た上で、その子供のことを知ろうとすることです。
もし自分が愛されていないと感じていたり、あるいは家庭内で不安定な状態に置かれていたりすると、子供はより傷つきやすくなります。
虐待の加害者は、しばしば自分を子供にとって信頼できる人物として仕立て上げたり、あるいは子供とより距離が近くなる場所に一緒に行ったりします(例えば遊び場や幼稚園、公園、あるいは子供たちのグループなど)。
時には、虐待の加害者は子供と近づくために、親と仲良くしたりします。単身の親(シングル・マザーあるいはシングル・ファーザー)であれば、虐待への耐性はより弱くなります。
知らない人の危険性を教える
あなたが取ることができる最善の行動は、恐らく、あなたのお子さんに「愛されている」「大事にされている」と感じさせてあげることでしょう。お子さんが自分に自信を持つことができるようにしてあげながら、本人が嫌だと感じる状況からは離すようにしてあげてください。
知り合いの大人が、あなたのお子さんに対してあなた自身よりも関心を持っているようであれば、細心の注意を払うようにしてください。例えば、いつもあなたのお子さんのベビーシッターをやりたがったり、お子さんを一人で外に連れ出したりしているなど。
お子さんには、いつもあなたが側についていること、またあなたがお子さんの話すことを信じていることを、分かってもらえるようにしてください。子供は虐待について、ほとんど嘘をつくことはありません。
・門限を決め、お子さんがどこにいるかをあなたが常に把握していることの大切さを強調して教えるようにしてください。
・決してお子さんが一人で外へ出かけてしまうことのないようにしてください。友達に会いに行くときは一緒に行ってあげて、遊んだ後はすぐに迎えに行ってあげてください。
・お子さんに、友達と一緒にグループでいるほうが安全であることを伝えてください。もしお子さんが学校まであなたの付き添いなしで歩いていかざるを得なくなった場合には、他の子供たちと一緒に行くように勧めてください。特に冬場は暗くなるのが早いため、注意してください。あるいは、あなたが迎えに行ってあげることができない場合には、他のご友人や家族のメンバーなどお子さんとよく面識のある人に、お子さんのところへ行ってくれるよう頼むようにしましょう。
・知らない人が話しかけてきたときには無視するようお子さんに教えてください。聞こえなかったふりをして、素早く歩き去ってしまうなどの対処法があります。
・もし大人が自分たちを恐がらせるようなことをしてきた場合には、大きな声を出して、必ずすぐに安全な場所へ向かうよう、お子さんに教えておいてください。
・知らない人の車には決して乗ってはいけない、とお子さんに伝えてください。もし誰かが車に乗りながら道を尋ねてきた場合には、掴まれることのないよう、また必要なときには逃げられるよう、必ず車から距離をとるよう、お子さんに指示してください。
子供に自分の身体について教育する
早い段階からお子さんに、自分自身の身体について教育しておいてください。身体は自分だけのもので、身体のその部分がプライベート・ゾーン(私的部分)であり、他の誰にも触られてはいけないところなのか、ということをお子さんに教えてください。
どんなことが適切で、どんなことが不適切なのか、子供がきちんと理解できるよう、性教育は早い段階で始めるほうが良いでしょう。虐待を受ける子供が、自分に何が起きているのかを理解できていない、というケースはしばしば見られます。
多くの子供が、大人に歯向かうことに対して恐怖感を抱いています。もし大人が、自分が不快になることをしてきたり、恐がらせてきたり、あるいは(その大人に対して面識があるのかないのかに関わらず)不適切なやり方で身体に触れてきた場合には、それに対して嫌だとはっきり言う権利があり、叫んで助けを求めることができるということを、お子さんに教えておいてください。
その場合、すぐにその人から離れ、あなたのところに来て話すよう、伝えてください。
インターネット上でのお子さんを守る
インターネット上でのチャットルームやSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)は、虐待の加害者や小児性愛者が子供を探すのに理想的な場です。彼らあるいは彼女らはどんな人間のふりでもすることができ、子供の信用と信頼を得ていきます。
慌てて子供にインターネットの利用を全面的に禁止するようなことはしないでください。インターネットは便利なツールです。もし利用を禁止してしまうと、子供はどのようにしてインターネットを安全に利用するかを学ぶ機会を失ってしまいます。
その代わりに、子供がインターネットで何をしているのかに関心を向け、子供のインターネットに関する振る舞いに変化が出ていないか、見張るようにしてください。例えば、子供がインターネットに費やす時間が突然に急増したり、あるいは自分がインターネットを使ってやっていることを隠そうとすることがあります。
常にお子さんに目を向け、お子さんにあなたが有害であると感じるウェブサイトを決して閲覧させないようにしてください。
お子さんにチャットルームやSNSの持つ危険性について話してください。インターネット上で、自分の実名や住所、メールアドレスや電話番号などの個人情報を決して入力しないよう、指示しておいてください。
特定の状況においてどう行動すべきかを子供に尋ねるようにしてください(例えば、チャットルームで誰かに自分の個人情報を求められた時、等)。
部屋の中で、家族で使うコンピューターを設置しておく場所に注意し、いつでもお子さんがしていることが見える位置に置くようにしてください。
特に重要なこととして、お子さんがまだ幼い場合、自分や自分の友達の写真を投稿させないようにしましょう。これについてお子さんの友達のご両親とも相談し、子供のインターネットの利用についての方針を立てておいてください。他の子供が投稿するグループ写真に、あなたのお子さんが含まれて写っていることもあります。
もしお子さんがインターネット上で友達を作り、その友達と直接会ってみたいと思っている場合には、大人の付き添いなしに行かせることは決してしないでください。可能であればあなた自身が同行し、カフェやショッピングセンター等、必ず周囲に人が多くいる公共施設を選ぶようにしましょう。