スキューバダイビングの安全性

症状

スキューバダイビングの安全性の基礎知識

レクリエーションダイビングとは?

スキューバとは、「自己完結型水中呼吸装置」の略で、スキューバダイバーは水中で圧縮空気のタンクに取り付けられたマウスピースを介して呼吸します。レクリエーションダイビングでは水深限界30mまでと定義されています。
いくつかのスキューバダイビング認定機関では、初心者からインストラクターまで、ダイバーのためのトレーニングを提供しています。ダイバーの認定指導団体は、PADI(Professional Association of Diving Instructors)、NAUI(National Association of Underwater Instructors)、SSI(Scuba Schools International)などがあります。 基本コースは、教室での指導、プールトレーニング、オープンウォーターでの海洋実習を修了してオープンウォーターダイバーとして認定されます。オープンウォーターダイバーとして認定されれば、スキューバ 装置を使っての潜水が可能ですが、各指導団体では、安全のために「バディ潜水(2人または3人のダイバーのグループ)」を推奨しています。

医療上の危険性はありますか?

スキューバダイビングは無重力の海に潜るので、最大の医療上の問題は、気圧の変化による中耳(ちゅうじ)の圧迫です。圧迫は耳に痛みを引き起こし、痛みは水深が深くなるにつれて高くなる水圧との差によって引き起こされますが、こまめな「耳抜き*」で回避できます。 内耳(ないじ)や副鼻腔(ふくびくう)に影響を与える圧迫はあまりありません。
*中耳と水のあいだの圧力を平準化する方法
また、腕や脚の切り傷は、毒をもつ魚やほかの海洋動物、サンゴ、害虫や漁船に露出した鋭利な金属などによって引き起こされる可能性があります。必ずウエットスーツなどを着用してください。
スキューバダイビングで起こる可能性のある疾患には以下のようなものがあります。
内耳気道外傷
気圧によって生じた中耳の障害のことです。潜水中耳炎、中耳腔スクイーズ、中耳腔リバースブロックなどがあります。ダイビング中、耳抜きができなかったり、風邪や上気道感染、治療されていないアレルギー性鼻炎がある場合に発生することがあります。放っておくと重度のめまいや難聴を引き起こします。
肺の気圧障害
海面への浮上中に不適切な呼吸が行われていない、ときには呼吸器感染症などによって起こります。 症状には、胸痛、息切れ、声の枯れなどがあります。
動脈ガス塞栓症(AGE)
気泡が血流に入り、脳に移動する気管内圧の一種です。 皮膚のしびれやうずき、衰弱、麻痺、意識喪失などの症状があらわれることがあります。 これは重大な潜水障害です。
減圧症
 この状態は、浮上時と水面上で発生します。 からだの組織や血液に貯蔵されている窒素ガスが溶液から出て、血液中に泡を形成します。 気泡はさまざまなからだの組織を傷つけ、血管を塞ぐ可能性があります。 重度の減圧症は脊髄、脳および肺の機能不全を引き起こします。再圧チャンバーでの治療が有効です。

覚えておいてください!

 
幸いにも深刻な医学的問題は、レクリエーションダイバーではあまり一般的ではありませんが、可能性はなくはありません。ダイビング中またはダイビング後に上記のような症状がみられた場合は、直ちに医師の診察を受けてください。

スキューバダイビングを安全に楽しむにはどうすればいいですか?

潜水関連のケガやと死亡事故は初心者やレジャーダイバーでも起こります。 安全のためには、常に、潜水経験とトレーニングレベルの範囲内でダイビングしてください。 安全なダイビングをするためには、以下のようなルールがあります。
1.快適ではないダイビングを決してしないでください。 潜行中は、こまめに「耳抜き」をして耳とマスク内の圧力を均等にする必要があります。 ダイビングコンピュータのパラメータ(減圧症を防ぐのに役立つ情報)の範囲外深い深度ではダイビングをしないでください。
2.上昇中には息を止めず、常に呼吸しながらゆっくりと上昇するべきです。
3.水中エリアとその危険性に精通してください。 そのようなケガが発生しないようにするために、どの魚、サンゴ、その他の危険があるかを学びましょう。 干潮時刻や潮流にも注意してください。
4.水の中で決してパニックになることはありません。 混乱したり、ダイビング中に恐れたりした場合は、停止し、リラックスして問題を解決してください。 バディやダイブマスター、インストラクターから助けを得ることもできます。
5.バディなしで絶対にダイビングしないでください。
6.「計画ダイビング」「ブリーフィング」を徹底してください。 必ず、計画通りにダイビングしてください。
7.ダイビング機器が計画したダイビングに適していることや、機器がうまく機能しているかどうかを確認してください。
8.ダイビングする前にアルコールを飲まないでください。
9.医師が安全であるといわない限り、薬を服用している間はダイビングをしないでください。
10.潜在的な医療上の問題がある場合、ダイビングは危険です。 ダイビングがからだにどのように影響するか医師に相談してください。
11.洞窟ダイビングは危険であり、適切な訓練と設備を備えたダイバーだけが試みるべきです。
12.気分が悪い場合や、ダイビング後に痛む場合は、直ちに最寄りの病院または救急診療を受診してください。
13.加圧された飛行機でも、無減圧潜水後12時間は搭乗しないでください。 ダイビング後は、少なくとも24時間は搭乗できません。

再圧チャンバーとは何ですか?

再圧チャンバーは、再圧治療・高気圧酸素治療のことで、水中と同じような圧力をかけ、泡を収縮させて血管を通過させることによって減圧症による傷害を治療します。再圧治療・高気圧酸素治療のできる病院がどこにあるか、事前に調べておくことも大切です。

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