禁煙はメンタルヘルスにも効果がある

喫煙とメンタルヘルス
禁煙は、ストレスや不安、うつを和らげ、日常生活を前向きに過ごせるようになります。これらのメリットはすでに精神面で問題を抱えている人だけでなく、すべての喫煙者に当てはまります。
私たちはみな、禁煙すれば体調がよくなることを知っています。禁煙で得られるメリットは10個もあります。でも、禁煙すると心の健康も改善することがわかっていることをご存知ですか?
大半の喫煙者はタバコをやめたいと報告していますが、喫煙がストレスや不安を和らげると信じているため、吸い続ける人がほとんどです。
しかし、喫煙がリラックスするのに役立つというのは完全な迷信です。実際はなんと、喫煙が不安や緊張を高めているのです。時間の経過とともに、喫煙者は非喫煙者よりうつ病もしくは不安障害に発症する可能性が高くなります。そして、タバコをやめることが、気分が大きく改善するきっかけになるのです。
喫煙が気分をよくするというのは迷信です
なぜ喫煙者は、心の健康に関する問題の有無に関係なく、タバコを吸うと気分がよくなると誤って信じているのでしょうか?
科学者たちは、喫煙者たちはニコチン離脱を防ごうとするタバコの力を、心の健康に有益な効果と混同しているのではないかと考えています。
喫煙者は、しばらく喫煙しないでいると不快感や不安感を感じて落ち込みます。それが、タバコを吸うことで一時的に改善することがあるのです。これにより、実際は最初に心理的な不安感を生み出しているのは喫煙なのに、喫煙こそ気分をよくするものだ、いう印象を作り出してしまうのです。
禁煙することの精神面でのメリット
研究によれば、禁煙すると、喫煙し続けている人に比べて不安や抑うつ、ストレスのレベルが低下し、生活の質や気分がよくなります。また、禁煙により体内の酸素濃度が改善するので、集中力がアップします。
精神障害を持つ喫煙者
禁煙の心理的なメリットは、すでに精神的健康障害を持っている人たちであっても、精神面での問題を抱えていない人たちと同じくらい顕著にみられます。禁煙は精神面を健全に保つのに役立ち、抗精神病薬の投与量を減らすことにつながります。
不安、うつ病、統合失調症などの精神障害のある人は、健常者に比べて2~3倍喫煙の習慣が復活する可能性があり、しかもその量も増える傾向にあるため、これは歓迎すべきニュースといえます。
喫煙者全体のうち、30%が精神面での問題を抱えていると推測されています。また、精神的な問題を抱えている喫煙者は、肺がんなどの喫煙に伴う身体的な損傷の結果、健常者より8年も寿命が短いのです。
禁煙は、抗うつ薬以上に役立つ
なぜ精神的な問題を抱える人が、健常者よりも喫煙する可能性がはるかに高いのか、という意見の一つに、ニコチンが不安やうつ、精神分裂症といった不快な症状をすぐに和らげると感じているのではないか、ということが挙げられます。
しかし、その反対こそが正しいのです。精神的な問題を抱えている人は、禁煙すると、より穏やかで前向きな、より良い生活を送るようです。実際、精神的な問題を抱えた人が禁煙する有益な効果は、気分および不安障害のための抗うつ療法の効果よりも大きいのです。
精神的な問題を抱えている多くの人が禁煙に成功し、結果として恩恵をたくさん享受していることが報告されています。
喫煙を止めるための6つのコツ
禁煙に成功する確率を高める方法を6つご紹介します。このアドバイスは、精神的なの問題を抱えているかどうかに関係なく当てはまります。
・ニコチンパッチと即効性のあるニコチン置換製品(ニコチン鼻スプレーなど)か、Champixのような処方薬のいずれかを、少なくとも6~8週間使用してください。中でも精神的な問題のある人は、禁煙治療に対話療法も組み合わせると効果が高まります。
・抗精神病薬を服用していている人が禁煙したい場合、事前にかかりつけの医師および/または精神科医に相談することがとても重要です。というのも、処方薬の量を観察する必要があったり、服用すべき量を減らすことになったりすることがあるためです。
・禁煙の成功を高めるために、飲酒や向精神薬の服用をやめるのは効果的です。
・うつ病やその他の精神疾患を持つ人は禁煙が難しく、健常者より強い離脱症状や吸いたい欲求を感じることがあります。
・喫煙はよく、精神的な問題を抱える人がその場をしのぐための手段に用いられるため、ストレスに対処するほかの方法を見つけることが重要です。
・禁煙で体重が増えたことをあまり気にしないでください。健康的に食べ、活発に動着続けていれば、体重の増加を最小限に保つことができるはずです。