アスベストと肺癌の関係についての基礎知識

アスベストについて
アスベストは現在禁止されていますが、建設業、メンテナンス業、あるいは解体作業を行っている人は、今もなおアスベストの粉塵と接触して、危険にさらされる可能性があります。アスベストの被ばくは、自宅の中であろうと、産業施設であろうと、危険であることに変わりありません。
アスベストの被ばくが原因と考えられる疾患には、中皮腫(肺の周囲にある膜に影響を及ぼすがん)や、アスベスト関連の肺がんがあります。アスベストが原因でなくなった人の多くは、電気技師、建築業者、左官、配管工、造船業や断熱材などの現場で働く人たちです。このグループの死亡率は年々増加しています。
中皮腫が発症するまでに20~50年かかるため、すでに進行した段階で見つかることがほとんどです。何十年も前に建設中に働いた人の場合、高齢になってから中皮腫を発症する可能性があります。中皮腫と喫煙の間には関連性はありませんが、アスベストにもさらされているので、タバコを吸わない人に比べて肺がんのリスクが高くなります。
アスベストのリスク
アスベストはまだ多くの建物に残っているので、現在も労働者にとって危険な物質です。アスベストを含む建物を修理し、アスベストの繊維が掘削や切断などで拡散した場合、致命性の高いほこりを簡単に吸えてしまいます。窓を開けたり、水を飲んだりしても、アスベストの危険から身を守ることはできません。
アスベストから身を守る方法
アスベストにさらされる可能性がある労働者に対して、以下のようなアドバイスがあります。
・可能ならアスベストを扱う作業は避けてください。アスベストがあるかどうかわからない場合は、作業を始めないでください。上司または顧客が、アスベストが存在するかどうかを伝えるはずです。
・アスベストはとても危険なので、中には取り扱いを避けたほうがよいアスベストがあります。アスベストの物質がスプレーでコーティングされたものだったり、板状のものだったり、パイプやボイラーの上に散布されたものである場合は、絶対に作業しないでください。ライセンスを受けた業者だけが、これらの作業をしたほうがよいからです。
・アスベストがある場合、アスベストの研修を受けていて、適切な設備を使用している場合に限って作業を続けることができます。
・アスベストの粉じんを最小限に抑えるために、電動工具ではなく手動工具を使ってください。また、物質を湿らせた状態にしますが、濡らさないようにしてください。掃除するときは、特殊(クラスH)の掃除機を使ってください(ブラシは使わないでください)。アスベストが入った袋は二重包装し、袋にラベルをつけて適切に処分してください。
・アスベストを扱うときは必ず適切なマスクを着用してください。通常のダストマスクは効果がありません。