(似ている記事があるので)座る時間は短く

症状

身体を動かす時間が多いほうが良い、ということはよく知られてることかもしれませんが、座っている時間は短いほうが良いのだということを示唆する結果も多く見られるようになってきたのです。
身体を動かさないことで不健康になるリスクを減らすために、我々は最低でも一週間に累計150分間の定期的な運動を行いつつ、座っている時間を減らす必要があります。
研究によれば、度を越して座り続けることは体重超過や肥満、Ⅱ型糖尿病、癌、早期の死に繋がるといいます。
長時間に渡って座り続けることは代謝を遅め、これが血糖値、血圧、脂肪分解を行う身体の能力に影響を与えます。
テレビの視聴、コンピューターの使用、読書、課題・宿題の処理、運転、バスや電車による移動、これらは全て座っている時間に該当します。但し、睡眠時間は含みません。

身体を動かす時間を増やし、座る時間を減らす

Start Active, Stay Active という報告は、長きに渡って座っている時間の合間に一、二分身体を動かす時間を取り入れるよう勧めています。
Sedentary Behaviour and Obesity: Review of the Current Scientific Evidence という、坐業的生活を肥満に結びつける根拠について調査している報告でチェアを務めるスチュアート・ビドル教授によれば、三十分座る毎に体を動かすための休憩を取り入れるべきだそうです。
しかしながら現状では十分な証拠は無く、人が一日に座る時間をどの程度にとどめるべきなのか、ということはわかっていません。
それでもなお、オーストラリア、米国、フィンランドなどの国では子供がテレビやビデオゲームなどでスクリーンの前にいる時間を一日二時間未満に抑えるよう推奨しています。
最近の研究が提唱しているものによると、最低60分の運動を行えば、一日のうちに座り続けたことによるネガティブな影響を相殺することができるようです。

ロンドンのバス運転士と宇宙飛行士

健康状態と座ることとの関係性は、1950年に登場しました。これは、ロンドンのバス運転士が同僚の車掌に比べ心臓発作を起こす割合が二倍であることを研究者達が発見したからです。
ますます坐動的になっている今日の生活スタイルに後押しされ、座ることの健康被害に関する研究は過去数年で膨れ上がりました。
座る行為は代謝を遅めると考えられており、代謝が落ちると血糖値、血圧、脂肪分解を行う身体の能力に影響が出るため、筋肉や骨が軟弱になる可能性があります。
「本質的には、座っているときは身体は『シャットダウン』していて、筋肉はほとんど使われないんです。」ビドル教授はいいます。
七十年代初期における宇宙飛行士の身体の調査からわかったことによれば、無重力空間における生活は骨軟化・筋力低下の進行、加齢と関係があるといいます。
「長時間に渡って座り続ける行為は、程度は落ちるものの、無重力状態が宇宙飛行士に与えている影響と類似した状況を作り出していると考えられます。」とビドル教授はいいます。

研究の限界

ほとんどの証拠は観察研究に基づいており、座ることと不健康状態に繋がりがあることが示されたに過ぎず、直接的な因果関係はわかっていません。
「現在得られている根拠の大部分からは、何が起きているのかに対する決定的な説明は得られません。」オーストラリア、メルボルンにあるベイカーIDI心臓・糖尿病研究所のデヴィッド・ダンスタン教授はいいます。「現在我々は、研究室における研究で観察され得る事柄を発展させています。」
NASAの宇宙飛行士に対する調査の示唆するところによると、宇宙から帰還してからの軽い歩行でも無重力によるネガティブな影響を克服するのに効果的であるそうです。
「長く続いた着席時間を中断する(中断して身体を動かす)ことによって筋肉や骨を作動させて、身体全体の機能を解放するのですよ。さながら車のエンジンを吹かすようなものです。」ダンスタン教授はいいます。

年齢別アドバイス

※着席時間の短縮は全ての年齢層に勧めております。

五歳未満

五歳未満の子供の場合のアドバイスは、テレビ視聴時間、車・バス・電車での移動時間、ベビーカーに乗っている時間の制限です。
「早期の坐業的な生活を体重超過や肥満、認知発達と結びつける証拠が現れてきています。」Start Active, Stay Active はこう報告しています。
これは忙しい親にとっては困難なことかもしれませんが、このアドバイスは、早期の体験や習慣が大人になってからの健康状態に影響を与えることに対する認知度の高まりを受けているものなのです。
「将来的に健康を損なう可能性から身を守るために、早期の段階で健康的な生活規則を確立しておく必要があります。」
以下は座る時間を減らすためのアドバイスです。
・幼児が、抱っこ紐、車中、(小児用の)食事椅子などにいる時間を減らす
・幼児が歩行補助具、ベビー・バウンサーで過ごす時間を減らす
・幼児がテレビやその他のスクリーンの前で過ごす時間を減らす

こども、若いひと

研究によると、複数のテレビやコンピューターを所持する家庭においては子供や若者の座る時間が増えるようです。
5歳から18歳の子供においては、家、教室、コミュニティの中や外を移動することは全て、座る時間を減らすことを意味します。
以下は座る時間を減らすためのアドバイスです。
・テレビ・パソコン・ゲーム(その他スクリーン)に関わる時間(以下スクリーンタイム)を「獲得する」方針を考える
・一日のスクリーンタイムの上限を設ける
・子供が活動的な生活を送れるよう、「スクリーンタイム無し」ルールを作る
・テーブルのセッティングやゴミだし等の手伝いをやるよう促す
・こどもが体を動かす遊びに従事するよう、スクーター、スケートボード、ボール、凧揚げといったものをプレゼントする
親が、自らのテレビ視聴やその他の座っておこなう行為を減らす様子を見せることで手本を示してあげることもできるでしょう。

大人

19歳から64歳の大人は、一日の間で座りこむ時間を減らす努力をすることが推奨されます。これは、仕事、旅行、或いは家にいる時間など、全てにおいてです。
アドバイスは以下の通りです。
・電車やバスでは立つ
・階段を使用する、或いはエスカレーターで歩行する
・三十分に一度立ち上がるよう決める(リマインダー等を設定)
・立って仕事ができるよう、ラップトップコンピュータを高いところにおく
・電話中は立ったり歩き回ったりする
・コーヒー/ティー・ブレイクのたびに散歩する
・同僚にはメールや電話をせずに、相手の机まで歩く
・テレビ視聴時間をより活動的な行為や趣味に充てる

高齢者

高齢者(65歳以上)の中には、一日の座る時間と横たわる時間が合計で10時間に上る人もいて、全人口の中で最もすわりがちな人口グループとなっています。
「部分的には、身体機能の低下や不健康が原因であるとも考えられますが、『高齢者はのんびりし、休憩するものだ』という社会規範が存在してしまっているのも事実です。」ビドル教授はいう。「これは助けになりません。」
高齢者は、一日に連続して長い間座ってしまう時間を減らすよう心がけるべきです。
「ある程度座ったら、立つことが必要なのです。」ビドル教授はいう。「長時間に渡るテレビ視聴は控えるべきで、軽い運動や立って行う動作に従事する時間をできるだけ増やすことが大切です。」
「立って行えるものはたってやりましょう。例えばコーヒーを飲むとか会話をするとか、手紙を書くとか。アーネスト・ヘミングウェイは立って小説を書いたのですから。」
アドバイスは以下の通りです。
・テレビやコンピューターの前に長時間座ることは避ける
・テレビを見ていてCMが始まったら立ち上がる
・電話をかけている間は立つ、或いは歩く
・ガーデニングや日曜大工(DIY)などのアクティブな趣味に従事する
・コミュニティと関わる活動をおこなう(ダンスクラス、散歩グループ)
・孫等と共に体を動かす活動をおこなう
・ほとんどの家事を自分でやる

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