ヒトパピローマウイルス(HPV)ワクチンについての基礎知識

HPVとは何ですか?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、ウイルスの総称です。
HPVにはさまざまなタイプがあり、それらが引き起こしうる症状に応じて、危険性の高いウィルスもしくは低いウィルスのいずれかに分類されます。たとえば、HPVの中には、いぼやたこができるものがあります。そのほか、子宮頸がんと関わりがあるものもあります。
99%の症例において、子宮頸がんは、危険性の高いHPVに感染した結果発症しています。多くの場合、HPVへの感染には自覚症状がありません。
HPVの種類とその役割
HPVには100種類以上あり、そのうち約40種類が陰部に感染します。
リスクの高いタイプのHPVに感染すると、異常組織の増殖だけでなく、子宮頸がんの発症につながるほかの細胞変異を引き起こすことがあります。
そのほかのタイプのHPVに感染すると:
・生殖器疣贅:生殖器や肛門部、あるいはその周辺にできる腫瘍もしくは皮膚の変化
・皮膚のいぼもしくはたこ
・膣がんもしくは外陰部がん(ただし、これらはあまりないタイプのがんです)
・肛門がんまたは陰茎のがん
・頭部や頸部のがんの一部
・喉頭乳頭腫(喉頭もしくは声帯のいぼ)
HPVワクチンを接種すべき女の子は?
HPVワクチンは安全で、ワクチンを接種しないほうがよい子はほとんどいません。ただし、特定の健康状態にある子や、重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)を経験したことのある子は、特別な注意を払ったほうがよいかもしれません。
なぜ若年期にHPVワクチンが投与されるのですか?
HPVウイルスは非常に一般的で、性行為によって簡単に感染します。
人口の約半数が、人生のある時期に感染します。免疫システムが感染を防ぐため、ほとんどの場合ウイルスは何の害も及ぼしません。しかし、時として感染が持続し、健康上の問題を引き起こす可能性があります。
ほとんどの女子は16歳になるまで性行為をしないと思われますが、早い段階からHPV感染から身を守り、十代の若い時期に楽しい時間を過ごせることは重要です。できるだけ早くワクチンを接種することで、将来的に自分の身を守ることができます。
HPVワクチンはどのように接種しますか?
HPVワクチンは現在、6~24ヵ月の期間内に2回の注射で接種します。
ただし、2014年9月以前にHPVワクチン接種を始めた子の場合、3回の注射になります。
HPVワクチンはどれくらい長く持続しますか?
研究では、ワクチンは約10年間HPV感染を防ぐ効果があることがすでに明らかになっていますが、専門家はもっと長く効果が持続すると推測しています。
HPV適齢期にワクチンを接種しなかった子が、成長してから接種しても効果はありますか?
はい、何らかの理由でいずれかのHPVワクチン接種を逃した場合は、看護師または医師に相談してください。
15歳以降にHPVワクチンの接種を受ける子は3回の投与が必要です。なぜなら、年齢が上がると2回分の投与では効き目があまりよくないからです。
子宮頸部検査とHPVワクチン
子宮頸部検査は、がん化する前に子宮頸部の異常な細胞を見つけ出す方法です。検査で見つかった子宮頸部異常を早期に発見し、治療することで、子宮頸がんの4分の3を予防できることがわかっています。
定期的に子宮頸部検査を受けることは、子宮頸部の異常な細胞変化を見つけるのに最適な方法です。したがって、HPVワクチンを受けた子であっても、25歳になったら定期的に子宮頸部の検査を受診することが欠かせません。