てんかんの基礎知識~症状、原因、治療~

症状

てんかんとは?

てんかんは脳の障害で、脳内の過剰放電による興奮が発作を引き起こすものです。発作のタイプにはさまざまなものがあります。けいれんや制御不能な動きで気を失う場合と、錯乱、凝視発作または筋肉攣縮(けいれん性の収縮のこと)を引き起こす場合があります。てんかんは「発作性障害」とも呼ばれます。
てんかんは精神病でも、知的障害でもありません。伝染性の病気でもありません。通常、発作による脳の損傷はありません。発作が起こっていないときは、てんかん患者は一般の人と何も変わりません。

てんかんの症状は何ですか?

てんかんの主な症状は発作です。発作が一回のみの場合、てんかんとはみなされません。てんかんをもつ人は、発作を繰り返します。
発作には様々なタイプがあり、症状もそれぞれ異なります。一般的なタイプの発作には以下のようなものがあります。
【全身性強直性間代性(大発作)発作】
このタイプの発作は、脳全体に影響を与えます。発作の間、体の筋肉は硬くなり、けいれん状態になります。通常、意識を失います。また、顎を締めつけたり、舌や頬を噛んだり、膀胱の制御を失ったり(失禁)することがあります。
【欠神(または小発作)発作】
このタイプの発作は、脳全体に影響を与え、通常は数秒で終わります。発作の間、凝視したり、自分の周囲に気付かずに、突然話すことや動きをやめたり、筋肉の動きに小さな変化を起こすことがあります。
【部分(焦点)発作】
このタイプの発作は、脳の一部のみに影響します。症状は、発作が脳のどこで始まるかによって異なります。部分発作は、感情や感覚(幻覚、しびれ、うずき、または視覚、味覚、臭覚、触覚、または聴覚など)を変化させることがあります。また、筋収縮を引き起こすことがあります(頭を異常に動かしたり、腕や脚をけいれんさせるなど)。また、口や唇を動かしたり、噛んだり嚥下したり、手を動かすなど、異常な反復運動をして、呪文を発することがあります。

<発作が始まる前に、めまい、情動変化、または視覚の変化(幻覚など)、嗅覚(そこにない匂いが匂う)、触覚(麻痺やうずきなど)を経験する人がいます。これは前兆と呼ばれています。>

てんかんはどう診断されていますか?

医師はてんかんを診断するために、病歴を精査し、神経学的検査を行います。医師は血液検査、脳波(EEG)、CT(コンピュータ断層撮影)、MRI(磁気共鳴イメージング)などの検査をする場合があります。これらの検査で、脳の活動を監視し、脳に出血や腫瘍などの問題がないか調べることができます。

てんかんの原因は何ですか?

原因は一定していません。てんかんのリスクを高める可能性のあるものは、以下です。
【遺伝】てんかんをもつ親または兄弟をもつ人は、てんかん発症のリスクが高い
【頭部外傷】重度の頭部外傷はてんかんを引き起こすことがある。時には、傷害から何年もたってから発症することがある
【感染症】髄膜炎、脳炎、AIDSなどの感染症はてんかんのリスクを高めることがある
【他の病気】アルツハイマー病、脳卒中、脳腫瘍、または脳内の血管の異常などの他の病気がてんかんのリスクを高めることがある
【妊娠中、出産時の異常、早産】妊娠中の感染症、出産時の異常、先天的脳障害(出生時に脳に問題がある)、または幼児の脳への損傷がてんかんを引き起こすことがある

てんかんはどのように治療されていますか?

てんかんは通常、薬で治療されます。発作が改善しない場合、医師は手術やその他の治療法をすすめます。てんかんの原因がわかっている場合、その治療をすることで発作を止めることができます。

てんかんの薬を飲む上で知っておくべきことは何ですか?

発作の予防に役立つ薬は、抗けいれん薬または抗てんかん薬と呼ばれています。医師は、発作のタイプ、発作の頻度、年齢、および健康状態にもとづいて薬を処方します。薬の服用を開始すると、医師は、薬が効いているかどうかや正しい用量であるかや副作用を判断し、細かく監視、確認していきます、
これらの薬は、疲労、めまい、皮膚発疹、記憶、協調、発声などの副作用を引き起こす可能性があります。薬の服用中に、うつ病、自殺願望、または重度の発疹がみられた場合は、すぐに医師に相談する必要があります。
薬の効果のために、服用は医師の指示に従ってください。また、医師への相談なしに服薬を中止しないでください。服用し忘れた場合について、医師に確認してください。発作が起こりそうな場合でも、処方量以上は服用しないでください。
また、発作を誘発する可能性のある薬もあるため、ビタミンやサプリメントを含む新たな薬の服用を始める前には、必ず医師に相談してください。
てんかんがある場合は飲酒はしないでください。アルコールは発作を起こしやすくし、てんかん薬の効力に影響を及ぼします。
てんかんをもっている人の中には、最終的に薬の服用をやめてしまう可能性があります。しかし、この決定は医師が行う必要があります。発作がどのくらいの時間でおさまったか、発作がなくなったか、症状に影響する可能性のある病気は他にないか、といったことを確認する必要があります。

手術や他の治療法はありますか?

一般的に、外科手術は、発作が言語、聴覚などの重要な機能を妨げない脳の領域で起こることがわかっている場合に行われます。薬剤耐性(薬剤が効かない、効きにくい)の発作の場合、迷走神経刺激と呼ばれる治療を推奨する場合があります。これは、小さな電源装置を胸の皮膚の下に埋め込みます。ここから電気刺激を首の迷走神経に送ります。
特定のタイプでてんかんの治療が困難な子どもには、脂肪が多く、炭水化物が少ない食事制限が必要な場合があります。この食事はケトン生成食として知られており、医師が処方し、監視する必要があります。
最適な治療法について医師と話し合ってください。

発作を起こしたらどうすればいいですか?

てんかんのある場合は、家族、友人、同僚と情報を共有する必要があります。近くにいる人に発作が起きた場合は、次の一般的なガイドラインに従ってください。
落ち着く
別の場所に移動させない
無理に動きを止めることをしない
大声をあげたり、揺らしたりして、起こそうとしない
けがをする可能性がある物を周囲から取り除く
喉をつまらせないために、慎重に横向きにする
口を開けたり、何かを入れたりしない
頭の下に柔らかいもの(枕など)を敷く
ほとんどの発作は命に別状ない。発作がてんかんかどうか不明の場合や発作時間が5分以内の場合は、医者や救急車の必要はない
発作が収まったら状態をよく見て、必要に応じて休ませたり眠らせる

てんかんに伴う健康リスクは何ですか?

てんかんは、次のような怪我やその他のリスクを高めます。
【妊娠合併症】発作が制御できない場合は胎児に影響を与える可能性があります。てんかん薬は胎児にも影響を及ぼします。妊娠中に薬を飲むことに関するリスクとメリットについては、医師とよく相談してください。
【傷害】発作中にけがをしたり、高い場所から落ちたり、水泳や入浴中に溺れたり、交通事故を起こしたりすることがあります。てんかん患者には運転規則がありますので、医師に確認してください。
【感情的な問題】てんかんを持つ人は、うつ病、気分障害、自殺願望を経験する可能性が高いです。うつ病の兆候がある場合や、自分自身を傷つけてしまいそうな恐れがある場合は、医師に相談してください。
【てんかん患者の突然死(SUDEP)】てんかんをもつ人で、特に薬の利かない発作が頻繁に起こる場合、まれに突然死の可能性があります。なぜSUDEPが起こるのか正確には分かりませんが、呼吸や心臓の問題と考えられています。

医師に質問すべき事項

てんかんの原因は何ですか?
発作以外の症状は何ですか?
子どもが発作を起こしてしまったら、何をすべきですか?
てんかんの治療にはどんな種類の薬が使われますか?
副作用はありますか?
親がてんかん患者ですが、子どもも発症する危険がありますか?
てんかんの患者に役立つサポートグループはありますか?
てんかんは予防できますか?

妊娠には、危険がありますか?

妊娠による影響は、人によって様々です。中には、妊娠中に発作を起こす回数が減る人もいます。てんかんをもち妊娠している女性は、てんかんをもたない妊婦よりも併症のリスクが高くなります。これらには、以下のようなものがあります。
膣出血
発作がより頻繁に起こる可能性
子癇前症(妊娠20週以降の尿中の高タンパク質状態や高血圧状態)
子宮からの胎盤剥離

赤ちゃんには危険がありますか?

てんかんをもつ女性の90%以上が正常で健康な赤ちゃんを出産します。しかし、リスクもいくつかあります。てんかんのある母親の赤ちゃんは、以下のリスクが高くなります。
死産や早産の可能性
成長するにつれて発作障害を発症する可能性
発育と成長の遅れ
出産後の赤ちゃんの出血の問題
親が服用する薬によって引き起こされる出生異常
薬を服用に関する医師の指示に従うことが重要です。親が薬を服用しないリスクの方が、親と赤ちゃん双方にとって高いです。これには、身体的傷害、発達遅延、発作による死亡などが含まれます。

親と赤ちゃんを守るために何ができるでしょうか?

医師の指示どおりに抗精神薬を摂取することが非常に重要です。2年以上発作がない場合は、妊娠する前または妊娠中に、発作を遅らせることができます。しかし、自身の判断で服薬をやめてはいけません。すべての妊婦と同様に、ビタミンサプリメントや葉酸を服用することも効果的であるとされています。抗けいれん薬によって葉酸の吸収方法が変わるかもしれないので、葉酸量をより多く含むビタミンを処方されるかもしれません。
また赤ちゃんの両親とその家族に、脳や脊髄欠損の病歴がある場合は、医師に相談してください。
十分な睡眠を取って定期的に運動し、バランスのとれた食事をすることが、安全で健康的な妊婦生活となります。

妊娠中に起こりうることは何ですか?

妊娠中は頻繁に、医師の診断を受けます。十分な抗発作薬を服用していることを確認するため、たびたび血液検査を行います。医師が妊娠中に薬の量を調整することは一般的にあります。また、妊娠中に複数の超音波検査(超音波画像検査と呼ばれる)が必要な場合もあります。医師は羊水検査(羊水穿刺)を行うこともあります。この検査で胎児の健康を確認します。
これらの予防措置によって、医師が妊娠状態と胎児の発達をモニタリングすることができます。

医者に連絡するべき時はいつですか?

次の場合は医師に連絡してください。
発作が5分以上続くとき
発作中に自傷行為をしたとき
発作中または発作後の感じ方がいつもと違うとき
発作の回復に通常よりも長い時間がかかった場合
発作がより重くなるか、より頻繁に起こったとき
2回目の発作が最初の発作の直後に起こるとき
妊娠している場合
糖尿病を患っている場合
身体の片側に突然頭痛、しびれ、衰弱がり、発作直前に視覚や発語に問題が起きた場合。これらは脳卒中の徴候である可能性がある

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